読書

木から

科学との馴染みぐあい、というのはいろいろなかたちがあるのだけれど、多様な生き物そのものについての「物知り」さ加減、というのは、とりわけ自分は欠けているな、とずっと感じてきた。 それぞれの領域の「大家」というのが身近にも次々と現れて、「かなわ…

わかりやすい、ということ

刈谷剛彦氏の「学校って何だろう」も、香坂玲氏の「生物多様性と私たち」もそうであったが、敢えて子供に向けたもの、中学生に向けたもの、を読む。 年少者に語るがゆえに、誤魔化せない、ということを、「教える」という仕事をしていて痛切に感じる。 どう…

格差という言葉が隠すもの

志水宏吉氏の著作で、私が働いている10数年の間に、どんなふうにその仕事の「とらえられ方」が変わっていっていたかを、改めて知る。 何のために、どんな人々のために頑張るか、ということは、「自明」であると思っていた。 制度がうまくかみあわなくても、…

あらためて考える

ダイレクトに話題にされ、看板として弄ばれるきらいもあるようなところに、突然身をおくようになって、自分の仕事の足許についてあらためて考えずにはいられない。 考えなければ気持ち悪い、考えなければ胸が詰まるような感じがする、うまく息ができないよう…

夏の読書

今年も淡路島に来た。 いつ慣れて緊張感がやわらぐのか、と先の見えない不安の日々。 しかし、この3日間は、休暇として子供たちとゆっくり過ごす。 ずっとお世話になってきた義父母とともにやって来たが、義母の体調がすぐれない。 夜、薄いものからでもと、…

母校へ

大学の出身研究室に、おそらく卒業以来初めて伺った。 「仕事」として。 新しい、とは言ってももう何年も経つ研究棟に初めて足を踏み入れた。 すぐにでも、実験ノートを広げて、サンプルから蛋白を抽出し、二次元電気泳動を始められそうな気がした。 ずいぶ…

不安は、読んで

おかしい、と思う。 良くなっていない、ということを肌で感じる。 不安が募る。 しかし、なぜかどんどんと押し流されていく。 うなずける内容を、確かな言葉でつづったものを、いまはただ探し、読んでいくことだけが、抗うすべである。 (志水宏吉:検証 大…

 朱子学と陽明学

島田虔次の「朱子学と陽明学」を読み終えた。 日本に生まれ育つ中で、儒教文化として知らず知らずに浴しているのは、その源となる「論語」から直接に個々が読み取ってきたものよりも、時代時代で体制を支えた人々の教養として学ばれ、また統治に積極的に利用…

 発達障害の子どもたち

杉山登志郎の「発達障害の子どもたち」を読み終えた。 研修なんかに熱心に出ている人によれば、もうこの新書はすっかり「定番」なのだそうである。 杉山さんの著書は、虐待への対応で悩んでいた時に、一緒に担任していたSさんがたくさんの本の中からこれがい…

 脳に悪い7つの習慣

林成之氏の「脳に悪い7つの習慣」を読んだ。 脳の仕組みから、脳の働きを阻害している「悪い習慣」を挙げ、それをやめていくことで機能が高まる、ということを説いている。 林氏は、「〈勝負脳〉の鍛え方」で知ったが、その後学生射撃連盟の講演にお呼びして…

 ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

漫画界の三大家、手塚治虫・赤塚不二夫・水木しげるの娘、手塚るみ子・赤塚りえ子・水木悦子の三氏による父を巡る鼎談。 個人的にはこの中で、水木しげる氏とは縁が薄かったのだけれど、つい先日、修学旅行の引率で偶然鳥取へ足を運ぶことになって、境港の記…

 40歳からの肉体改造

頭痛やひどい凝りになって現れる、首筋や肩の不調の対策として、適当にストレッチポールに寝転んで、自分なりに背骨周辺を緩めて修正する、というのが習慣になっている。気持ちよくて、やった後はよく眠れる。それだけでも十分なのに、大抵はその不調を翌日…

 周公旦

酒見賢一の「周公旦」を読んだ。 細々と論語の通読をしているのだけれど、孔子が理想とする「周」や「周公その人」、またその当時の状況や、「礼」そのものについて、あまりにも知らないために、せっかく読んでいても、引っかかれていないと感じられて、過ぎ…

 ダイエットブームから学ぶ

最近、体力の低下が悩みの種の相方。 出産にともなって増加した体重は、母子通園をしている保育園で準職員として走りまわったり、暑さが到来したりしたのと共に減少に転じたものの、素直に喜べる状況ではないらしく、今ひとつ冴えない。 こういうときにはハ…

 はじめて仕事で活用するビジネスフェイスブック

上田修子著の「はじめて仕事で活用するビジネスフェイスブック」を読んだ。 Facebookについては単に実名ベースのSNSだというだけでなく、そのことを基にして非常に強力なツールとして使えるものらしい、とだけ何となく理解して、気になっていた。しかしその…

 大学生からの文章表現

黒田龍之助氏の「大学生からの文章表現」を読んだ。 アマゾンのおすすめか何かで遭遇して、何気なく買ったものだ。脱「小論文」、脱「ツマラナイ文章」を掲げて、学生たちに文章術を教える講義の現場がそのままに本になっている。しばらく読むあてもなく書棚…

 四十九日のレシピ

テレビといえば、最近のドラマは面白くないのか、視聴率が昔に比べると随分低い数字でうろうろしているというようなニュースを、ときどき見かける。私自身はもともとあまり見なかったけれど、いわゆる10回ものくらいの民放のドラマは、もう軽く10年くらいは…

 ドット・コム・ラヴァーズ

吉原真里「ドット・コム・ラヴァーズ」を読んだ。 発刊当初に、ネット上で偶々書評に出くわして、面白そうだなと買ったものだ。その書評に、著者による同名のブログもリンクされていて、そちらは今もときどき読む。 アメリカ文化研究が専門のハワイ大学教授…

 シュリーマン旅行記 清国・日本

シュリーマンといえば、トロイア遺跡の発掘とそれについての著書「古代への情熱」で、これは新潮文庫の百冊なんかにも入っているので、高校生のころからよく知っていたけれど、その同じ人が明治維新前の日本に来て、当時の日本の記録として相当に貴重な旅行…

 本を読む本

昨日、娘たちが昼寝をしている間に散髪に行った。 順番を待つ間に、長らく読みかけのままになっていたM.J.アドラー・C.V.ドーレン(外山滋比古・槇未知子 訳)の「本を読む本」を読み終えた。 この本は、アマゾンの「おすすめ」で遭遇して購入したものである…

 身体知

内田樹・三砂ちづるの「身体知」を読んだ。 三砂さんは、「オニババ化する女たち」の著者である。 社会には女性が「結婚・出産を忌避して社会的な評価を得る」ことを支持、補強する言説は豊かにある一方、「結婚・出産すること」に追い風になるような言説は…

 竹取公園と町立図書館

いつもより30分ほど遅く起きたほかは、いつもと同じように朝食を用意し、元気に起き出した娘と朝ご飯を食べると、公園にいこっか、と連れ出した。 常に子どもと過ごしていて、いろいろなことが捗らない相方に、ちょっとでもほっとしてもらおう、という思いも…

 図書館へ

「朝は6時までに起きて、午前中は外に出て身体を動かす。昼食後は90分以内の午睡を取り、夜は8時に寝る」 というのが保育園から娘に出された「宿題」である。 冬休みに限らず、いつも心がけていることではあるので、まずまず大きくこれから逸脱するようなこ…

 「あかちゃん」

昼寝で娘を寝付かせるのに、絵本を読む。 相方とともに、3人だけで寝ころぶのは久しぶりだった。 赤ん坊は少し静かにしてくれていて、この間は義母に任せた。 娘が一緒に遊びたいと思っているいとこたちが家に到着するのが聞こえた。 それを娘に気付かれない…

 目を惹いた記事:「イチロー10年物語」

先週のことなのだが、イチロー「10年物語」というスポルティーバの特集ムックを思わず買って読んだ。 スポーツのパフォーマンスにおいて「他を圧する秀で方をする」というのが、どういう風にして起こるのか、という関心は並々ならないのだけれど、そういうこ…

 大不況には本を読む

橋本治氏の「大不況には本を読む」を読んだ。 文学者(としての立ち位置も、一目置かれつつどこにも収まらない感じの人)による、経済についての本である。 「貧乏は正しい」(や、もっと遡れば「'89」やそれ以前のさまざまな雑文集)以来、いわゆる経済や政…

 ウェブで学ぶ

梅田望夫・飯吉透著の「ウェブで学ぶ−オープンエディケーションと知の革命−」を読んだ 「海の向こうでは、大変なことが起こっている」、という問題意識の持ち方は、どちらかというと古い感じがするけれど、ウェブの世界における潮流については、国際性を自ず…

 「整体 楽になる技術」

片山洋次郎著の「整体 楽になる技術」を読み終えた。 ノウハウを詰めこんであったり、整体業(?)の紹介だったりするのか、と思わせるタイトルであるが、世の中を支配している考え方や感じ方の変遷が、身体にどんな運動構造や姿勢の変化をもたらしているか…

 絵本と娘

しばらく補充ができていなくて、「ぐりとぐら」など今の娘よりもまださらにちょっと高い年齢を想定したものを除くと、ずらっとならんだ絵本のほとんどで対象年齢を超えつつある。 「ぴったり」の絵本に次々めぐり合うと、どんどん読み続ける習慣ができてゆく…

 日本の近代小説

中村光夫氏の「日本の近代小説」を読み終えた。 ずいぶん古い本で、青版の岩波新書を手にするのは久しぶりである。 柄谷行人氏の「日本近代文学の起源」は大変面白かったが、いわゆる「その時代の文学」について分析を加えるものであった。そこで俎上に挙げ…