竹取公園と町立図書館

アスレチックの娘



いつもより30分ほど遅く起きたほかは、いつもと同じように朝食を用意し、元気に起き出した娘と朝ご飯を食べると、公園にいこっか、と連れ出した。
常に子どもと過ごしていて、いろいろなことが捗らない相方に、ちょっとでもほっとしてもらおう、という思いもある。


どこに行く?と尋ねると「竹取公園にいこう」と言う。一度は怖くなってしまった、ちびっ子ゲレンデのそりだったが、保育園の坂でいろんな経験を積んでいけそうな気がしているらしい。


少し遅くなると混み合ってくるのだけれど、朝9時過ぎの公園は人がまだまばらだった。
駐車場から間近い、アスレチックから器用に一通り上り下りして、次の大きなアスレチックへと進む。
娘がもっと小さいときから、たくさん手を貸してチャレンジしてきたのだけれど、今日一緒にやってみると、靴を履いたままで要所要所は四つん這いになり、かなりの部分を自分ひとりで何とか行けるようになっていた。
どこに足を置くか、試行錯誤してひとつひとつ進む様などには、あらためて感心してしまう。


「次は?」と訊くと、「そりに行こう」と、ゲレンデへ駆け出す。
入り口でためらいなくヘルメットとそりを取り、自分でどんどん階段を上がって行った。
そりをセットしてやると、さも当然、という様子で一人乗り込むので、「押してあげようか」、と声をかけて押し出した。
すーっときれいにまっすぐ滑っていった。下に着いて止まると、悠然と立ち上がった。
3回まで、というルールを覚えていて、あと2回やな、と言いながらふたたび登ってきた。
えらく逞しくなったものである。


ちゃんと3回滑ると、次はとなりの丘の長い滑り台を目指す。
ローラーコースターのスタート地点となる塔までに設置されている様々なアスレチック遊具を、ちゃんとひとつひとつやってみながら上がっていく。
スタート地点に着くと、
「パパは、○○が終わるまでここで待ってて」、「終わってからパパは滑って」
と言う。
へー。これはまた。
ずいぶんいろんな自信がついたんだなあ、と驚く。
「わかったわかった、いっといで」と見守る。
なかなかスピードは出ないけれど、手すりを漕ぎこぎ降りていく。
ときどき、ついて来てないか確かめるように、振り返るので、手を振ってやった。
得意そうに、どんどん進んでいく。
最後のカーブを曲がっていくのを見届けると、それっと私も勢いをつけて追いかけた。
ざーっと滑り降りると、娘は、ちゃんと降り口の横で待っていた。
もう一回、同じように滑って、さあて、これでお終いにするか、と反対側の歩道に出る。


公園のすぐ横には、町立の図書館がある。
きれいな建物なので、前からちょっと気になっていた。
「まだ11時だし」、と私自身がちょっと覗いてみたくなって、「これ図書館なんだけど、ちょっと行ってみない?」と娘に持ちかけてみる。
正月休みに一緒に図書館に行った記憶が新しいこともあって、娘は喜んで「いこういこう」、となった。


そんなに大きいわけではないけれど、採光のいい、天井が高くて見通しのきくきれいな図書館だった。
入り口からすぐ右手に児童書のコーナーがあった。
娘は棚の間を抜けると、さっそく「これにする」と絵本を選んできた。


1冊ずつね、と小さなテーブルと椅子の並ぶ一角と、書棚を3度往復した。

今日読んだのは、
「よるくま クリスマスのまえよる」よるくまクリスマスのまえのよる
「よーいよーいよい」よーいよーいよい
「ルラルさんのほんだな」ルラルさんのほんだな (いとうひろしの本)
の3冊。


「よーいよーいよい」は、なかなか沁みた。
「ルラルさん」のシリーズは、今回娘が取ってきたのを読んで初めて知った。ほんわかと、こどものワクワク感をさそって、ほっとさせられる終わりかたをする、いかにもお勧めしやすそうなお話だった。
絵本には、長新太さんの作品のような、「へ?」とあごがはずれそうになる、呆然となるような真空系の驚きと表裏一体になった面白さ、みたいなものを、ちょっと期待してしまうところもあるけど、それはたまのスパイスみたいなもので、子どもが「おはなし」を楽しむにはこういうのが基本になるのだろうか。
(ちょっと常識的過ぎて「無難」な感じが「これでいいのかな」、という不安に似た物足りなさを、私は少しだけ感じてしまう。)


お昼ごはん食べに帰るか、と立ち上がると、うん、と娘もついて来た。
小枝を振り回して、金網の柵でパラララララ、とやりながら、駐車場まで歩いて戻った。


[fin]