四十九日のレシピ


テレビといえば、最近のドラマは面白くないのか、視聴率が昔に比べると随分低い数字でうろうろしているというようなニュースを、ときどき見かける。私自身はもともとあまり見なかったけれど、いわゆる10回ものくらいの民放のドラマは、もう軽く10年くらいは観ていない。
四十九日のレシピ


「テレビドラマ」という、3ヶ月も週に1度決まった時間に1時間近くの時間を拘束されて小出しに話を聞く、という行為自体が生活としっくり来なくて関心が湧かない、というのが、たぶん私がそういうものから遠ざかっているおもな理由である。映画館にも、行かなくなって10年近くになる。
「ほかの人の思惑に進んで身をゆだねて翻弄される楽しみ」が、そういうものを観ることの「楽しみ」だと思うのだけれど、基本的にこのごろはそういうのが「しんどく」感じられたり、「委ねることを心地よく思えない」ような心持ちのことが多く、1回ものの長いドラマや映画なんかも受け付けない感じがする。
(相方は、同じような生活をしながらも、そういうものが観られる機会があると大抵心奪われて見入っているから、結構「我慢」しているのかもしれない)。


それでもまれにだが、NHKの4回ものくらいのは、見てしまうことがある。
なんとなくそうなるにはパターンがあって、舞台がどこか自分の日常や過去と地続きなのを無防備にチラッと見ているうちに、出ている人の立ち居振る舞いやことばに惹かれてズルズル見る、というケースに限るようだ。


ちょっと前のものになるけれど、最近のそうしたものに、「四十九日のレシピ」(http://www.nhk.or.jp/drama/49nichi/)という作品がある。ほかを観ているわけではないから、これが相対的にどんな出来のものなのかはよくわからないけれど、そのときの私にはなかなか良くって、なんだか日々のいろいろなことをひととき忘れられるなあ、なんて思いながら続けて相方と観てしまった。


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