アイスクリームの音楽

Jackie Mclean plays FAT JAZZ



朝食と弁当の支度がある程度できて、娘と相方に起きてもらおうか、というタイミングでラジオをかけることにしている。


テレビは、目が奪われて動きが鈍ることもあって、小さいころから基本的には朝には付けないもの、だった。
私が家を出て、ほかで暮らしている間になんだか両親がすっかりテレビ好きになっていて、働き出してしばらく実家に戻ったら、朝にもテレビをつけるようになっていたのには驚いたものだ。
子どもにはあまりテレビを見せてはいけない、と両親が思っていたからなのかもしれない。
私自身が親になった今は、子どもにテレビを見せないようにしていて、基本的にうちでは「子どもを寝付かせ終わってから、そっと観るもの」になっている。


そんなわけで、普段はNHK-FMの朝の番組、6時台の小編成のクラシックを流す音楽番組と天気予報、7時からのニュース、休日の夕方に耳が寂しいときには、同じくNHK-FMや京都のアルファ・ステーションFMを適当に流す、というのが、我が家の音(というかメディア)環境である。


帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。
娘は、おじいちゃんに送迎してもらうときには、その車に乗っている童謡のCDを聞くのが楽しみらしい。
私と乗るときは、iPodに子供向けの音楽はほとんど入っていなくて、選択肢がない。苦し紛れにかけた英語の教材の「ハッピー・バースデイ」が気に入ったらしく、それをかけてかけて、と10回でも繰り返させられる。
教材の歌は、なんだかやっぱり教材っぽくて、繰り返されると私がしんどくなってくるので、同じハッピーバースデイでも、このごろはハナレグミのアルバムに入っている方のを掛けるようにしている。誰だかよくわからないままに「ハッピーバースデー・ディア・アリヤマさーん」なんていいながら、陽気に手拍子やハーモニカが繰り出されるのに合わせて手拍子したりして、喜んで聞いている。


昨夕、家事をしながらラジオをかけていると、放送内容がトークにシフトしてあまり音楽がかからなくなった。
私たちはまあまあ面白く聞いていたのだけれど、娘が「アイスクリームの音楽がいいの」、「アイスクリームの音楽にして」とラジオに文句を言いだした。
何のことだろうか、と確かめると、ジャケットの表紙にアイスクリームやパフェがいっぱい並んでいるCDを持ってきた。

Jackie McLean Plays Fat Jazz

Jackie McLean Plays Fat Jazz


棚に並んだCDをかけることはすっかり少なくなっている。
それでもごくたまにはかけることがあって、その時には、後でケースにディスクを忘れずに戻せるよう、デッキの後ろにジャケットが見えるようにケースを立てる習慣がある。
ジャケットデザインは、絵本の表紙と同じようなもの、といえばまあそうだ。よく見ていたものだなあ、と感心した。
娘が取ってきたディスクは、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)の「FATJAZZ」というアルバムで、たしかにレストランのデザートのメニューみたいな写真がカバーになっている。


モダンジャズのメロディと、「アイスクリーム」とのつながりをどう感じているのかは、よくわからないのだけれど、「アイスクリームの音楽」と、嬉しそうに聞いていた。


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