40歳からの肉体改造


40歳からの肉体改造―頑張らないトレーニング (ちくま新書)
頭痛やひどい凝りになって現れる、首筋や肩の不調の対策として、適当にストレッチポールに寝転んで、自分なりに背骨周辺を緩めて修正する、というのが習慣になっている。気持ちよくて、やった後はよく眠れる。それだけでも十分なのに、大抵はその不調を翌日に持ち越すことなくリセットできているようなので、大したものである。この間「スロトレ」とダイエットをきっかけに、トレーニングのことについて久しぶりにちょっと考えたのだけれど、この習慣のきっかけになった、有吉与志恵さんの本をあらためてちゃんと読んでみなきゃな、と思わされた。調べてみたら、有吉さんのコアトレは「2」や「DVD」が出ていて、さらに他にも何冊か書かれていた。ふーん、とamazon.comの書評を覗きながら買ったのが、この「40歳からの肉体改造」である。


体幹のトレーニングをしたい、と思っているときに遭遇したのが有吉さんの「コアトレ」だったのだけれど、読むと、いわゆる「頑張る」ような部分が全くなくて、リラックス、リセット、アジャストばかりで肩透かしを食った。それまでにいろいろと読んでいた「整体」関連の本からモードを変えるつもりで買ったのに、変えるどころかその延長だったわけだ。ある意味「期待はずれ」だったのだけれど、方向性としてはすでに十分親しんでいたものだったから、違和感がなかったばかりか、ストレッチポールという、実に単純で効果的なツールと、医学・スポーツ科学的なアプローチでまとめ直された方法論が面白かった。偶然、この本に出会う少し前に相方の実家にあったストレッチポールを譲り受けていて、なんとなく我流で使っていた。その使い方が明らかになって、すごいツールだということがわかったのが、その時はなにより嬉しかった。


それから3年を経て読んだ本書は、感じ取ることの大切さを説き、生活のパターンによって必然的に生じる、「酷使されて疲れている部分」と「使われないためにこわばったり弱ったりしている部分」を見極めて、使われていないところを目醒せて運動を補い、疲れているところを緩める、個別のコンディショニングが必要であることを丁寧に語る内容になっていた。
フットセラピーや中医学などを学びながら、コンディショニングを軸にしたトレーニングを構築してゆく過程が簡略に描かれ、その中に「コアトレ」も位置付けられていた。


一つ一つの技法はイラストで説明されている。たくさんあるように見えるけれど、今の自分に必要なものを見つけて、それに数分でも割くことがコンディショニングだということであるから、他の人に紹介しやすい、とても実用的な1冊だと思う。


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