買い物

バリストール・クレバ



今日は表彰式だけの出番(式典の途中で大雨になり、テントの中で身を寄せ合う表彰式・閉会式となった。ちゃんと2枚目の2位の賞状を受け取ってきた)。


ようやく「試合に備える」ことを考えなくてよくなったので、出店を出している銃砲店を覗いてまわる。
東京の老舗銃砲店で買い物ができる貴重な機会だ。
国体は、日本中から熱心な射手が集まる最大の商売機会なので、店の方もセール価格で大商いをする。


ひとそろいの用具はそろった感があって、1年分のARの弾を注文してしまうと、他には買わねばならないものもない。銃身の交換についての質問をした後は、うろうろと品物を見て回っていた。
今度あたらしく装薬銃をはじめる後輩に、銃器の手入れ法や必要な道具についてたずねられて、この機会にとエニスの若林さんに尋ねてみた。聞き伝えられた方法をなんとなく工夫してやっているだけで、改まって訊かれてみると意外と手入れ法というのはきちんと考えたことがないものだ。
少し前から、バリストールというオイルのことが気になっていたので、掃除に使えるガンオイルってどういうことなのかをきいてみた。


22口径くらいのライフルでは、アグレシッブなソルベントを使う必要がなく売る方もSBを撃っている人にそういうものを薦めることもない、だから一般的に国体に来ているような選手が知っているソルベント類はみなおとなしい性能のものだという。だからそれで銃を痛める心配はあまりないが、ソルベントで汚れも油分もを落とした後そのままにするのは金属表面にとってはなかなか厳しい。良質の油分を薄く引いておくことがやはり絶対に必要だ。
バリストールは植物起源の実験器具洗浄に端を発するオイルで、環境や健康に配慮することが当然となる風潮の中、石油起源の有毒なソルベントやオイルが嫌われて注目されるようになったが、実は昔からあって、20年ほど前に一度入荷したけれどそのときは全く売れずに終わったのだそうだ。洗浄能力もあって、なおかつガンオイルとしても優秀なので、おすすめだという。
アンシュッツではこれを1斗缶のようなでかいサイズのもので買い込んで、洗浄・潤滑用のオイルはすべてこれを使っているが、若林さん自身も弾着の変化や腐食予防などについていろいろテストしてみて間違いはなかった、自信を持って薦められる、と丁寧に昔話も交えて話して下さった。


もうそのお話だけで、とってもおもしろく、「買い物に来てよかった!」という気分だった。早速、買ってみた。
私はもうSBを始めた2年目から(もう13年にもなるのか…)当時まだ珍しかった植物起源のソルベントを使っているので、バリストールの話はとってもうなずける。なんたって、効能書きに「犬の皮膚病に効きます」なんて一文があるくらいだから、安全性の点で間違いなくすごいガンオイルである。


今までソルベントで洗いっぱなしだった銃身には申し訳ない気持ちである。帰ったら早速これで掃除してやろう。


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