ふたつめ


今日は2種目目の10mP60M。


2射群ということもあって出番が3時15分からと遅い。
あまり早く会場に入っても待ち疲れてしまうので、昼前に会場に入ろう、と計画していたが、宿はどうもロビーなどのくつろいで座ったりする場所がなく、部屋は畳だけで、座布団も満足にないような状態なので、「会場で上手く過ごす方がまし」と判断して、結局10時前には会場へ向かって移動することになった。


おとついの分に
「伏せて撃つP60Mは、10m競技としては国際競技会では行われない。50m競技ではオリンピック種目で、その練習競技として各国内でローカルに行われている。
P60は、50mでは競技も練習もするが、10mでP60を撃つことは普段なく、試合では年に2回だけ。練習もその直前に50mとの違いを調整する程度である。」
と書いたが、その通り。


その理由は、「あるレベルを超えると競技で選手間の差がほとんど出ない」から。
立射とちがって、圧倒的に安定した姿勢の伏射は、一定以上の技術がつくと10mではほとんどはずすことはない。ここ数年国体の優勝スコアは60発全部10点の満射(600点)。去年私が優勝したときは3人の満射がいて、10点の中でもランクが一つ上の「inner10」の数で順位を決めた。
「練習」して技量を上げることよりも、当日その競技時間中に「ミスを全くしないでいられるかどうか」が重要なのである。


今年は電子標的なので、撃った瞬間に点数が確定する。
ギャラリーには弾着や得点がリアルタイムで見えるので、応援する者も、「はずせー!」と念じるライバルにもものすごく力が入って、会場は異様な空気がはりつめた。


しっかり時間をかけてフォームを整え、気持ちと体が徐々に凝って疲れるのを防ぐように「気持ちよく・気持ちよく」と念じながら丁寧に射撃をしていった。しかし10発目にあっさり9.9を撃ってしまった。9発目を撃ったあと、ふと射撃部のブログに外来の人が質問を書いたりそれに答えたりするにはどうしたらいいか?についての解決アイデアが突如頭に浮かんで、それはうれしかったものの、「いかんいかん、試合中に余計なことを考えると禄なことはない」と自分を戒めて、慎重に気を取り直して時間をかけて撃ったのだが、だめだった…。
静岡大会で1発だけ外したときも、直前に「外れる予感」を感じ取っていて、精一杯抵抗したのに外れてしまった。不思議だ。


「今年の優勝はこの時点でほぼないな。一人は少なくとも600撃ってくるだろう。」と思った。
それは仕方ないのだが、ここからが実はとてもきつい。次の失点は入賞すら危うくする。しかし、このまま1点でしのげば、1シリーズ目の失点なので、満射の次に強い最強の599となる。2位くらいは十分あり得る。
後ろでも、外す前以上に大阪の協会のN村さんやチームメイトのK見さん、監督のK田さんがハラハラと見守り、1射群599で撃ち終わった京都のK山は「もう1発外せー」と念を送っている。

十分に体の筋感覚を整えるのに時間をかけ、照準とトリガーは勇気を振り絞って素早くスムーズに、を繰り返し、深い10点を撃ち続けた。ただ10点を取ることだけを目指すと疲れてくる。心の中では今年から採点法が変わったビームのテーブル競技のスコアと張り合っていた。


60発全部を決勝と同じ10.9点満点で競うようになったビームライフル女子テーブル競技ではトップが636点台をたたき出していた。これは6シリーズ通して常に10.6アベレージで撃ち続けたことになる。
「私がやる競技の中でもっともよく点数の出るこの10mP60で106点台は続けて出せているだろうか?」
目標106点だ。2-3回は出せていた。気がつくと最後まで撃っている一人になっていたが、1失点で無事に撃ちきった。


S60に続いて2位。1位はまたしても体育学校のM選手だった。
「なんだかんだ言って、この大会ではMくん以外に負けなかったなあ。」
2位2つとは団体成績にも大貢献だ。
連覇はならなかったものの、満足感をもって競技を終えることができた。


[fin]