編集の価値


以前は、はてなRSSを愛用していたが、昨年だったか、そのサービスがなくなってGoogleリーダーに移行した。


これらは、RSSフィードというものをネット上から回収してきて、更新のあったブログを更新時系列に表示してくれる便利なサービスである。ホームページとブログの決定的な違いがこの「フィードの発信」にあると、Web2.0なる言葉が席巻したときに入門書で読んで、へーと思った。
自動的に登録先を巡回して差分だけ知らせてくれるソフトウェアは、ニフティ・サーブ時代からあったけれど、インターネットの大海で世界共通のプラットフォームとして、そういうものをあらかじめ組み込むことにしたところに新味があったのだろう。


こんなに便利なサービスがあって、いろいろなページを登録もしていながら、継続してずっと読んでいるブログはそう多くない。
そんな中で、内田樹氏のブログは、よく読んでいる。


氏は、比較的早い時期からネットに文章を書くことを習慣としている人だ。
1度のエントリーで(そう長いわけではないけれど)、なるほどそうかあ、と堪能できることが多くて、すごいなあ、といつも思う。
何というか、出し惜しみなく語って、尽きることがない感じに、いつも圧倒される。
そして高度だったり遥かな射程を備えていたりしても、日常の景色から浮遊してしまうことなく、たしかな着地点を持つ思考を築きうることを、背中で見せてくれるようなところが大変に心強い。


出版される氏の著書に書かれていることは、ブログにほぼ全てソースがある。
「ブログをまとめただけ」と、そのことをとやかく言う人もいるが、書籍となったものを買うことに私はためらいはない。
たとえ要素として全く同じものから成っていたとしても、それがあるテーマに沿って一つにまとめられたものと、そうでないものでは別物だ。その価値はとても大きい。
そうすることに必要な労力についても、よくわかっているつもりだ。


全く比較にならないが、ここしばらく空いた時間は、書籍に載る原稿の締め切りに追われている。
原稿に書くことは、実践の中ですでにやったことである。すべてコンテンツとなる要素はわたしの頭の中にあることで、私にとって珍しくないもの、である。
しかし、編集の要求に合わせてアウトプットしなおすことは、なかなか本当に難しい。


ポイントと授業づくり 特別支援教育―特別支援学校新学習指導要領 知的障害・発達障害〈平成21年版〉
半年ほど前、同じように締め切り前、数日呻吟させられた原稿が、先日、本の姿になって届けられた。
そのときも、限られた紙幅に対して、盛り込まなければならない内容の多いことにあっぷあっぷしたが、出来上がったものを見ると、そうなることが必然だったような顔をして、文章は収まっている。


今回の本は「作り」から言うと、これよりもさらに欲張りで、割り当てが1ページ少ないのに、前回は必要なかった実践以外のことも、あれこれ書かなければならない。
担当に電話したりして出版社の意図を探りつつ、早々の完成を目指す。、


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