教育委員会表彰


つい先日、「普段は職場できちんと働いて十分に貢献をしながら、国体にも出場して「優勝」・「日本タイ記録」という成果を挙げた」として、教育長から表彰をします、と正式に連絡があった。
今日の夕刻に、校長先生と教育委員会の会議室まで、表彰を受けに行った。
今回「教育委員会表彰」を受けることになったのは、私ともう一方、福本幸さんという陸上競技をしておられる先生の2名である。


なかなか普通は、どんな方が教育委員をしておられるのか、市井にあって顔を知っていることはあまりないものなのだが、私の勤める町では、知事が学力テストの結果とその扱いをめぐって教育委員会を公共の電波上で罵倒する、という事態が起こったところで、その対応の場面がメディアにも時々流されるせいで、表彰に当たって並ばれた顔ぶれは、どことなく拝見したことのある印象があった。


国体に優勝すると、協会から地方体協へ成績が報告されて年度ごとのスポーツ賞をいただけるのだが、今回のはそういうのとは違って、「社内表彰」的な意味合いが強そうだ。


どういうスポーツなのか、どんな記録なのか、と随分今回の表彰に先立って、校長先生は委員会の方から説明を求められたようで、見たことのない競技の説明に苦労されたようである。こういう機会に知ってもらわないと、と校長に薦められて、説明用に(本物を持っていくわけにはいかないので)デジタルライフルと紙の標的をえっちらおっちら持参した。表彰後10分ほど取られた懇談時間の中で説明をする。
10m競技の標的の小ささは、一般の人々にかなりのインパクトがあるようだ。はじめ、校長が説明用に標的をFAXしたら、折り返し電話がかかってきて、実際はどのくらいの大きさなのか、と尋ねられたという。説明用に縮小した図だと思われたらしい。


もう一人の受賞者、福本さんは、走り高跳びの選手で、日本歴代5位の191cmという記録を持っておられる。
そのすごさは、私と比べて非常にわかりやすい。今年で国体は3連覇で、昨年大阪で開催された世界陸上にも出場していたというから、すごい。
中学校の体育の先生だというのだが、どのくらい、どうやって練習しているのだろう、と思っていると、案の定その質問が出た。


「練習はしていません、日ごろの生活動作一つ一つが練習だと思っています」
と言う。
あら、こりゃ負けた、と思った。


陸上部の指導をして、仕事でも体育を教えているので、研ぎ澄ます「生活動作」の範囲は広いであろうし、私の日常生活と競技の間の距離よりはもう少し競技に近いものであろう、とは思うけれど、極限を競う競技者としての鍛錬、という観点からは「していません」なのだろうし、自分の競技会に向けた練習、というのも「していない」のかもしれない。
「技術系」なら、陸上でも同じようなものなのだな、と心強く思いこそすれ、驚きはあまりなかった。


スポーツで選手として戦っている、というだけで、生徒たちが「同類」と感じるのか、馴れ馴れしさに近い親近感を感じて励ましてくれたり、張り合ってきたりしてくれる、という「喜び」を語っておられたが、それは私も全く同じだ。


まだまだうまく頑張らないとなあ、と少し新たな張り合いを感じて、表彰会場を後にした。


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