企業開拓


昨日は「学校から程近い隣町」である2つの市へ、今日は隣県まで足を伸ばして企業開拓に走り回った。
生徒たちが就労させてもらえる可能性のある企業を求めて、求人誌や職安の資料、求人サイトなどから見当をつけて絞り込み、学校を紹介する資料と名刺だけを頼りに、ぶっつけで話を聞いてもらいに訪問する。


「障害者求人」というものもあるにはある。しかし、その数は僅かな上に、そこで想定されている「障害者」は私たちが教えている生徒たちの像と一致しないものが多い。


入り口で断られてしまうこともあるが、小さなところでは社長さんが立ち話で応じてくださったり、少し大きなところでは担当される方に応接室まで案内してもらって話を聞いていただけたりする。
「生徒たちの像」というのが、一人ひとりまるで異なっていて、得意不得意が様々なこと、そのために面接や試験だけでは適性をなかなか理解してもらいにくいこと、それぞれの会社で仕事の内容を示していただいて、それにマッチする生徒を、学校と会社が実習を通じて探していく過程がどうしても必要であること、などを話す。


実はそれは本当のところ障害のある人だけに必要な過程、というわけでもないんですよ、という話になったりすることもある。
人を採用する、ということがもともと大変なことであるのに、そこへさらに「障害」をどうとらえ、それぞれの業務の中に位置づけられるかどうかということまで考えてもらうのは、大変なことであろうと思う。
それでも、これまで障害のある人を採ったことのない会社から、積極的に採用に向けた動きを示してくれるところを1つ見つけることができた。


この職場に来ることがなければしなかったであろうこの仕事で、会わなかったであろう人や、見なかったであろう場所に、少しびくびくしながら、資料だけを頼りに足を運ぶ。
マクロな視点で見れば教職員の奔走で生徒の就労先を確保する現在のやり方は、単にこれまでの支援学校の(就労についてはあくまでも小規模な)進路指導を規模拡大しただけで、早晩破綻することは明らかだ。
ただ、現在の状況ではこの方法でしのぐよりない。


そのような懸念は抜きにして、いろいろな人に会う経験で、世の中の見え方が具体的で立体的なものになるよう、鍛えて貰っている感じがしている。


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