コープ

おいしい低温殺菌牛乳



相方がここしばらくまた、せっせと情報を集めては問い合わせをしたり、サンプルを持ってきてもらったりしていた。
生きのいい野菜や魚、肉はどんな風に購入するのがいいのか、いろいろ研究しているらしい。


「生協を始めようと思うんだけれど」
と言ったのは、先月の半ばくらいだったろうか。
生協というのは、エリアごとにいろいろな団体があるということは知っていたが、それは地域の違いによるものだと認識していたので、「候補は3つあるのよね」と言われてもはじめはピンとこなかった。
それぞれに主義の若干異なる、複数の生協の中から「選ぶ」ことができるものらしい。


中国で製造したギョーザを食べた人々が嘔吐などの中毒症状を起こし、調べてみるとメタミドホスという農薬成分が検出された、というニュースがまだ記憶に新しいところだが、このギョーザはJTが生産委託をして「生協」に納入していた製品だった。
納入に当たってメーカーにいろいろ条件や検査をしたり、消費者から常に直接に意見や要望を聞くことで、「安全・安心な品物を扱っている」ことが売りである「生協」にとっては、大変痛い事件だったようだ。


生協は共同購入が基本で、個別配送のサービスもこのごろはあるらしい、くらいの認識だったのだが、このところこの個別配送を利用する利用者が増えているらしい。
「買い物に行かなくても、注文したものが届けてもらえて便利」という側面をありがたく思う人にとっては、扱っている商品の幅が広いほうがありがたいであろう。スーパーで取り扱っているものと、品揃えの面でも、商品自体もあまり変わらないいわゆる「大手」生協は、「生協」本来の方向性を保ちつつ、そのようなニーズに最大限応えようとしている「生協」だといえる。


その一方で、有機野菜の個別配送を生業とする業者が台頭している。たとえば「らでぃっしゅ・ぼーや」の広告はうちでも時々郵便受けに入っていた。
少し値段が張っても、安全で健康的なものを食べたいというニーズは一方で高まっていて、それに応えようとしている「生協」もある。取り扱っている商品の幅は狭いが、農薬使用の有無や栽培法、栽培者などのはっきりした食材だけを揃え、さらには、本来このようなものが流通すべきではないかと規範的な商品提案もする、本来の方向性をよりラディカルに追求した「生協」である。


相方が示した「3つの」生協は、この2つのタイプと、その中間型の3つだった。
3つの間で、出資金の方法、配達の方法などもそれぞれに異なっていて、加入者数の多い、大手に近いほど加入の敷居も低くなっている。
「中間型」と「ラディカル型」の間で少し悩んだが、最もラディカルな生協に落ち着いた。生協加入を考えた理由からすれば、ごくごく順当な判断であろう。


今日、その1回目の商品が到着した。
野菜は、旬のものを生協がセレクトして届けてくれる、「おまかせコース」というのを頼んでいるのだが、知らない野菜なんかもあって、とても面白い。
瓶入りで届けられる「低温殺菌乳」は、あまり味をどうこうと言わない私も、濃厚なのにさらさらとした口ざわりに思わずうなってしまった。
相方が、届いた食材を前に、うれしそうに生き生きと献立を考えている姿もいいものだ。


どんな風に我が家の「食」が変わっていくのか、楽しみである。


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