テレビ窓口


盆休みに入ってしまう前にしておかなければ、と思っていた「銀行仕事」を片付ける。
独身時代に、「最長」で組んであった住宅ローンを、「結婚」や「出産」を経て、少し見通しのようなものが立てられるようになったので、繰上げられる分を繰り上げるなどする。


いつも営業の終わった銀行でATMだけを使ってすませているので、営業中の銀行に入るのは大変久しぶりである。
R銀行などは、見慣れたカウンターが全くなく、「総合案内」というフロントとひとつひとつがパーティションで区切られたブースだけで店内が構成されていてびっくりする。
「これは知らないところだ」と身構えてしまった。
T銀行も同様にブースが並んでいるものの、若干以前の銀行の店内に近い構成でほっとした。それでも、保険も扱うようになって以来、店の構造も業務も随分と「変わった」ことを感じる。


「ローンのことで・・・」、と尋ねると、通帳の印の確認だけして「テレビ窓口」という、モニタと対面するブースに案内された。
そういう業務に対して一括して対応するセンターにつながっているらしく、小さなサイドモニタに担当者が現れる。モニター脇の受話器を促されるままに取って、応対が始まった。
メインモニタには情報が照会されるのに応じてその画面に切り替わり、確認作業などが判りやすく進む。指定した条件に対する計算などの作業は、「しばらくお待ちください」と、いったん画面が消えてモニタの見えないところで行われる。
最終的に書面を取り交わすところはどうなるのかな、と思っていると、窓口のテーブル自体が、ATMの通帳や払い込み証を機械側に取り込む装置を大きくしたような構造になっていて、計算結果や変更申請書がそこからするすると出てきた。
説明にしたがって署名したり捺印したりして、またその装置に滑り込ませると、印や署名が向こうで確認されて、つつがなく手続きは終了した。


後日、正式な書類やお知らせが作成されて自宅に郵送されてくるらしい。
なんだかあっけなくはあるが、スムーズに進めることができてなかなかよかった。


その後、引き落とされることになった口座に、同じ銀行の他の口座からお金を移動したのだが、ATMの、取り扱い金額制限が厳しくなっているため、窓口で用紙記入してやってもらうことになった。
通帳の登録住所が間違っていたり、電話番号が古いままだったりしたため、それらの変更手続きも必要になって、こちらの方が大変だった。


3時過ぎまでかかったものの、無事にちょっと苦手なそういう手続きを終えられて、やれやれと息をついて帰ってきた。


[fin]