「別れの後の静かな午後」


別れの後の静かな午後 (中公文庫)
大崎善生「別れの後の静かな午後」を読んだ。
「九月の四分の一」に連なる作品集、ということだが、それには遠く及ばない出来で、あまり感心しない。短編の中には佳作もあるように思うが、全般に何となく安っぽさを感じさせる設定や展開が多いように思う。硬質で緊迫した美しい話というのは、そうは書き続けられないものなのであろうと、少し同情するような感じがした。


何と言うか、当初私なりに期待していたものからすれば少し落胆もあるのだが、読み進めるに従って違う作家の作品を読んでいるような感じになり、気分転換として本を読む楽しみは味わって、ひとしきりの息抜きもできた。
それはそれでいいかな、という気はする。


[fin]