もう一クラス?


先日の選考試合を経て選抜した代表選手ひとりひとりにメールを送った。


同じ競技をする内輪の世界に注目はほぼ限られるものの、その目は当事者にはなかなか重い。かけられる労力や予算も、競技団体のなかでそれなりの大きさを占める事業である。しかし、それぞれの選手が「チーム」として実際に過ごす時間も、そのことを意識する機会も、そこから何かを得るチャンスも、非常に少ない。
派遣へのさまざまな手続きや、雑務は相当にあって大変なのだが、それを協会の事務局や私たちがこなしていくのとは別に、監督がチームや個々の選手に働きかけて、組織として作り上げていく作業は、(ちょっと大げさな気持ちの持ちようや工夫を怠ると)全くないままに終わってしまう可能性がある。
いろいろな理由付けが後でなされていても、実際には、ただ選手を派遣しました、というだけになってしまっていることは珍しくない。


引き合いに出すのもおこがましいが、プロの有力選手を各チームに頭を下げながら集め、大会ではメダルが至上命題である、北京五輪の「星野JAPAN」も状況は似ていると思う。
こういった「代表チーム」が「有機的な組織として機能する」、ということは相当に難しいことで、有力選手を好きなように集められるから強い、なんて自明なことのようにいう人は組織やスポーツについて全くわかっていない。
どうするのがいいのかについては、なんとも拙いアイデアと行動力しかないが、その難しさについてだけは、少し身にしみてわかっているつもりだし、謙虚に自分のできることがなにか考えるようにしている。


集団になることでマイナスの作用が起きて相殺が起きてしまうことだってある。まずはそんなことのないように気をつけねばならないけれど、できればそれに留まらず、選手たちをただ寄せ集めて成績が足し算される、という以上の、何らかの相乗作用があるような環境にしたい。


まずは派遣に係る手続きや作業を滞りなく行うことが大変で、素人監督としてはそこを頑張らないといけないのだが、もうひとクラス担任を持ったような気持ちで、あれこれ考えては文章を打ち、受け取り手に思いをめぐらせながら送信ボタンをクリックする。


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