「フューチャリスト宣言」


ウェブ進化論」でいろいろなことを教えられ、この「はてな」の取締役でもある梅田望夫氏と、従来の自然科学の枠にとらわれない活躍を続ける脳科学者の茂木健一郎氏の対談。フューチャリスト宣言 (ちくま新書)


ウェブ上でどういうことが起こっているのか、という紹介からさらに一歩進んで、主にKnowledge Abondanceの状況下で変わってゆく世界について考えさせられた。
ネットを長時間巡回した後に感じる「うしろめたさ」から思い切って突き抜け、リアルの価値と比較してうしろめたくならないくらいに「十分に使いこなす」としたらそれはどんな状態なのか、と考え、実験することを、代行してもらった感じだ。


ネット社会でオープンな状態を保って、世界中につながりあう可能性を持ち続けることと、常に自己をネット上でさらすことから生じるリスクを引き受ける「打たれ強さ」。この2つが、「新しいもの」を創造・追究することを生業とするすべての人にとっての、最低限のスキルなりリテラシーなりになっていくだろう、という主張は、繰り返されるうちに「そうなのであろうなあ」と実感に変わっていく感じがした。
そのような生業ばかりではないから、すべての人がそうでなければならない、というわけではない。しかし逆に、そのような志向がわずかなりともあるならば、それを欠くことは許されなくなっていくであろう、ということだ。


ウェブ進化論で、「放置できない」と感じたことが、(ほとんど広がりは見せていないが)ここを開設することを思い立たせたのであったが、もう一段、ちょっとした覚悟なり腹の据え方がいるな、と思った。
インターネットはグローバル・ブレイン


立花隆氏の「インターネットはグローバルブレイン」から10年。
「『インターネット』を世界の新しい『前提』として据えた上で、好意的かつ建設的に未来を考える」というスタンスを同じくして、表わされる内容はここまで変わってきたのだな、と少し慄然とする。


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