退院


黄疸の数値が、順調な減少傾向から一転、若干上昇する兆しがあるので、と退院の2日延期を勧められた。
母親は退院して、授乳にだけ通う、という可能性もあったようだが、たまたま病室に余裕があったことに助けられて母子共の延期となった。


「光線治療室」というところへオムツ姿で入れられる、ということを、1日の内のかなりの時間、したらしい。
光よけの目隠しをされてひとりオムツ姿で機械に放り込まれている姿、というのは、相当にショッキングで切ないものらしく、母親になりたてで精神状態も落ち着ききっていない相方は、時にぽろぽろ涙を流して動揺を隠さなかった。


1日半の加療で黄疸値は再び順調な減少傾向を示し、今日2日遅れの退院となった。


仕事のあった私は駆けつけられなかったが、相方の両親が退院の手続きや迎えをしてくれた。
病院でお世話になったたくさんの方々へのお礼をすませて、無事実家に戻ったのは、夕方遅く、もうあたりがすっかり暗くなってからだったようである。
これから相方と娘は、相方の実家でお世話になる。


現在の娘は、よくお乳を飲み、便や尿のサインもしっかりと、元気な様子である。
明暗にはよく反応するが、今は聴覚優位なようで、声や音や揺れに対する反応の方が豊かなようだ。


私はこれからしばらく、24時間のいろいろな世話の大変さから距離をおくことになるが、日々の変化を見る楽しみからも遠く離れることになる。
合間を見て通いつつ、携帯の写真つきメールを楽しみにすることになるのだろう。


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