「ICカード」と「その他の乗車券」

ICOCA



出張があって、いつもと違うルートで帰宅した。


定期券の範囲外を移動するときには、ICOCAを愛用している。この春から近鉄電車もICカードネットワークに加わったために、このICOCAで行けないところはほとんどなくなった。
同じFeliCaを使ったサービスでも、携帯電話のEdyや、同様の非接触ICカード乗車券のPITAPAなど、銀行口座とつながっているサービスには抵抗を感じてしまう私だが、単純なチャージ式のICOCAはその辺りの敷居が低くていい。


今日の行き先は最寄りが地下鉄の駅であったので、ICOCAで地下鉄に乗り込んだ。途中で近鉄電車との相互乗り入れ区間に変わり、ターミナルで近鉄電車のもう一つの路線に乗り換えると、そこは私の定期区間である。乗換駅には構内改札があり、ピピッと精算された様子だったので、そのまま乗り慣れた電車に乗って帰ってきたのだが、改札口の手前でふと立ち止まってしまった。
「…定期券を改札機に通す機会がなかったぞ。『入札記録なし』ってことになるな。」
入れてみると、案の定。


駅員さんに事情を説明したら、「はいはい」と室内にICOCAを持って行って、作業に取りかかってくれた。
乗換駅の構内改札でそこまでの料金は精算されてるから、それさえ確認できたら、改札を開けてもらって出ることになるんだろう、と思っていたら、「すみません、ちょっと待ってくださいね。」と言って、電話で問い合わせをしている。


後で事情を聞くと、乗換駅の構内改札で精算されたのは「地下鉄区間」の部分だけなのだそうだ。乗換駅手前数駅分の「相互乗り入れ区間」については、その後さらに乗った分と併せて、下車する際に精算される仕組みになっているらしい。


…ということで、どうなったかというと、「相互乗り入れ区間」分の料金は現金で支払い、「地下鉄の駅から乗り込んだ」というデータを消去してから、改札を開けてもらって、外に出ることになったのだった。
なかなかにややこしい。
シンプルに通過するには、「構内改札」を使わずに、乗換駅で「改札口」を出て、定期券で入り直せばよかったようである。


まあ帰宅のときのことで、一刻を争う時間帯ではない。駅はのんびりしたターミナルで、駅員さんは一生懸命対応してくれるので、たまにはこういうのもいいかな、なんて、暢気に改札口に佇んでいた。普段ゆっくりとは見ることのない駅前の風景を、5分ほどぼんやりと眺めることができた。


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