病床


一昨日の夜から翌朝にかけて、腹痛で一睡も出来ず、嘔吐や下痢を経て寒気や節々の痛みがひどくなって、のたうち回るような具合になってしまった。
うなりながらリンゴだけ半分すって口にしたあと、ベンチウォーマーで重装備して、肩で息をしながら近所の医院の開院前によろよろとたどりついた。
幸い3番目とすぐの順番になったものの、わずか10分あまりを待つのがとてもつらかった。


前日の昼に食べ過ぎた、というのがあったので、原因明白な感じが情けなかったが、タイミング悪く腸から来る風邪なんかにもぶつかり、疲労も溜まっていたためにひどくなっているのだろう、と思った。
みるみるうちに熱が38度を超え、お腹から背中まで痛むため、息も苦しく、じっとしていられない。処置室で点滴と痛み止めの注射をしたが、いつまでも改善しないので、膵臓や胆嚢が急性の炎症を起こしているかもしれない、と一応入院も考えておくように、といわれる。


最後に坐薬を試して、これで良くならないようなら…ということだったが、坐薬を使ってしばらくすると、じっとしていられるほどには落ち着き、久しぶりに少しうつらうつらとすることが出来た。
親に電話して、実家へ連れて行ってもらい、薬を飲んでひたすら寝た。


今朝になって、まだお腹の調子も悪く、ふらふらとするが、微熱になり、起きあがれるようになった。
明るい時間帯に、ゆっくり実家にいるのは本当に久しぶりだ。
病気にでもならないと、こののんびりした時間は過ごせない。


欲張った分、応えてきてくれた身体が、ちょっと限界なのかもしれないな、と思った。
先日、司馬遼太郎の「世に棲む日々」を読み終えたばかりであるが、登場する様々な人間像を前に、「器」とか「分を知る」ということについてしみじみと思うようになった。
相応しくない無理をすることと、相応しい中で力を尽くすことはずいぶんとちがう。誰とも比較できないものだから、自分の中でうち立てていかないと行けないのだが、今回のダウンは少し身に沁みるものとなりそうである。


新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)


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