「未来におきたいものは」


鶴見俊輔対談集「未来におきたいものは」を読んでいる。


未来におきたいものは―鶴見俊輔対談集


もともとは橋本治氏との対談が読みたくて買ったのだが、買ってから長らく本棚に寝かしてあって、ようやく手に取ったのだが、とてもおもしろい。
大学にいた頃に意識していたけれど、その後少し縁遠くなっていた名前が次々と出てくる対談に、結構興奮しながら読んでいる。


金芝河氏との対談で氏が、「過去の『抵抗運動・民主主義への熱情』はスポーツとはまた違った『気体操』による『心身の修練』を経て、人間の存在に対する新しい認識へと関心が向かい、文明の欲求を一人の生の営みの中に見ようとするようになってきた」と語り、それに対して鶴見氏が津村喬や木下尚江、岡田虎二郎について語るくだりは、甲野善紀氏の著作をきっかけに「近代や科学を現在においてなお身体を通じて相対化し、見つめ直す営み」があることを知っていなかったら、なぜここでこんな話が出てくるんだ?と不思議に思って、読み流していたかもしれない。


西島健男との対談「私の中のアメリカ」、加藤典洋赤坂憲雄との鼎談「歴史の遠近法」が非常に印象に残っている。


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