1ヶ月


4月が終わる。


1日に転勤して以来ここまで、土曜も日曜も不安で休めなかった。
昨日今日とはじめて職場には行かず、「休み」にした。
でも、休むことへの不安が先立つような、緊迫した気分はずっと続いている。

国体の1次予選を兼ねた大会があったから取った休みだった。
見失ってしまった自分を少しでも思い出せたら、と、すがるような気持ちも少しあった。
撃っている間くらいは、今の状況を忘れられるかもしれない、と。


SBは昨年11月、学生の指導の傍らで1時間程撃ったのが最後、ARは石巻が最後。結果や勝敗は、本当にどうでもよかった。
こんな風に撃つのは、まちがいなくはじめてだった。
明るい春の陽気に佇む標的に向かってただ銃を構え、指が反応するのを感じる。
どこに当たっても、「あはは、そうか、そうなるか」と笑みが溢れる。
本当に幸せだった。


PとSはただ身体に任せて撃つことができた。ただ楽しむ、ということができるところまできていたのだな、と我が事ながら感心した。
それにひきかえKは、身体の中になにもなくて、あれこれ考えざるを得ず、苦しかった。


50m3*40M
98 98 95 94 385
94 97 95 90 376
89 93 87 92 361 1122


10mS60M
99 97 100 98 93 98 585


他県の予選に出る人がいずれも上にいたものの、思いがけず、いずれの種目も1位で2次予選に駒を進めることになった。その日に試合会場に行けるかどうかはわからない。でもチャンスがあるならまたがんばろうと思う。
今日の結果は、なんとか仕事をがんばってものにしなさい、と射撃の神様が背中を押してくれているような気もした。


ARの1位は、ながらく気にかけてきたTくんだった。すっかりりっぱになった彼と並んで表彰台に立ててうれしかった。彼ももう4回生。高校生の彼に会って、もうそんなに月日が流れたのか。


こんな雑文を書いてしまうほどに今日は少し安らいで、明日また不安の渦中に戻る。


[fin]