栗を拾う

栗を拾う



義父が役員を務めている施設が栗の畑を持っていて、季節になると一度は拾いに出かけさせてもらうのが、ここ数年の恒例になっている。
娘は去年一昨年と2度も参加していて、今年はもう3度目になるのだけれど、私はいつも射撃の用事で行けたことがない。今日も学生の選手権が行われているから、本来はそちらに顔を出すべし、という筋もあるのだけれど、今年は家庭を優先させてもらった。


年によって豊作・不作がある上、夏の気温や降水量などの気象変動によって実る時期が1ヶ月くらい前後するものなのだそうだ。
もちろんご好意で合間に拾わせてもらうわけだから、本来の持ち主の収穫と私たちが林に出かけるタイミングによっても、栗の様子は大きく変わるだろう。探して回らなくてはなかなか栗が見つからない時もあれば、入り口から少し進む間に袋がいっぱいになってしまって、あっという間に引き揚げる、ということもあったという。


栗を「栽培」しているところに行くのは、私は初めてだった。
かなりの傾斜地に、うまく道が切ってあって、本当に栗の木ばかりが一定の間隔で植わっている。ただ、ブドウやナシのように強く剪定してあるわけではなく、背も高いので「畑」という感じはあまりしない。表土はやわらかく叢生でおおわれており、土はしっとりとしていて、居心地の良い明るい林だった。よく手入れされているのだろう。


義父母と義兄の家族も一緒に、姪っ子たちとにぎやかに栗を拾う。娘はおじいちゃんと、せっせと道のない斜面を登り降りしていた。銀寄という大粒の品種で、歩きまわると、あちらこちらにころがっているのが難なく見つかった。もっとたくさん落ちていることもあるらしいけれど、十分に豊作といえる出来のようだった。
小一時間でたっぷり集まり、こんなにいいのかしら、と思うほどもらって林を後にした。


栗林の後は、義母の知人が開いている瀟洒な喫茶店でみんなランチをごちそうになった。


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