交換だらけ


保育園の行事に行く相方と二手に分かれ、私は子ども二人だけを乗せて私の実家へ移動した。
実家近くのいつものガソリンスタンドへ、給油に立ち寄った。ブレーキフルード無料補充のキャンペーンだとかで「見ていいですか」というから、ちょっと嫌な予感がしたものの、見てもらった。出てきたサンプルは相当に濁りと泡立ちがあって、素人目にも相当に状態が悪かった。


主に私が乗っていた頃は、何がどのくらい消耗しているかを、車載のノートに記録して把握していた。しかし保育園生活が始まって以来、車の使用頻度は圧倒的に相方が多くなり、さらには長らくお世話になっていたディーラーさんが倒産してしまって、消耗品の判断基準にしていたKさんのアドバイスもなくなり、今や「車検をどこに出すか」まで、すべて相方に任せるような具合になっている。すっかりクルマの消耗品への関心が薄くなっていた。ひょっとして…と思ったのもつかの間、エンジンオイルを12000キロも交換していないことが判明。これには絶句してしまった。
店の言いなりは嫌だな、と身構えてみたが、クーラントもミッションオイルも前回交換から相当にひどく間が空いていて、出てくるサンプル出てくるサンプル、どれも「うわ」と声を上げそうなくらいに状態が悪い。「こりゃあ仕方ない」と観念して、ごっそり作業してもらうことにした。


バケットで眠っている9ヶ月の息子を抱えて、3歳の娘を連れて待合室に入る。娘と一緒に、置いてある雑誌を繰ったり、NHK衛星放送の日曜美術館などを退屈させないように小さい子向けの超訳ならぬ超解説をつけながら見たりして、なんとか作業が終わるのを待つ。息子が起きずに済んだからよかったものの、1時間近い待機時間は、好天の下ののどかな午前の空気とは裏腹に、結構はらはらした。


無事に支払いも済ませてスタンドを出ると、クルマは明らかにアクセルの反応が良くなっていた。やれやれ、まあよかったかもな、と思いながら実家へと走らせた。


[fin]