2011夏休みの工作 その2

吊り棚式収納



制限時間付きながら、家でひとり過ごせる「夏休み」は今日が最後。
もうひとつどうしてもやっておきたかった工作仕事があって、今日はそれに取り組んだ。


小さい子供を抱えてバタバタした生活をしていると、成長速度の早い子どもには、必要なものもどんどん移り変わっていき、それを追いかけていくだけで精一杯、という具合になるから、どうしても物が溢れがちになる。北側の洋室がその煽りを食ってここのところすっかり物置状態になってしまった。この夏になんとか一度、ちゃんとした部屋に戻しておきたい、と考えていた。


床に直接物を置いていった結果、足の踏み場もない有様になっているのだが、ひとつには、既存の収納スペースが有効に使われていない、ということがあり、もうひとつはそれを改善した所で、やはり(ストッカーなどの大物を中心に)収納場所が足りない、ということがある。一時期どんどん増えて、どうなることかと思ったが、ある程度荷物全体の増加傾向は落ち着いた。これらのストッカーの収まるところができれば、あとは「どう収めるか」に転じて見通しが立つだろう、と睨んだ。
一度壁面を埋めるように書棚を作ったけれど、既製の本棚を立てる壁面がなくなってしまって、それを収めるためやむなく減築したところがある。本棚の上は天井まで壁面が空いており、この本棚を包むようにして再び棚で壁面を埋めるように増築することにした。減築した時に遊んでいる柱を再登板させる。


収納ボックスに合わせて、少し大胆に70cmの幅、奥行き40cmを、この1本の柱で何とか確保したい。前に大きく棚板がせり出す「吊り棚方式」にする。前夜に、端材がどのくらい活用できるかのチェックと、棚の高さをどうするかの調整をすませておいた。70cmの長さの板材だけは、さすがに端材では揃えられないが、他は、鎖やヒートンなどの小物を補うだけで作れる見通しが立った。これらの資材を購入するにも車がないので、そこは母の外出に便乗して、実家の車で父と出かけた。


作業に取り掛かろうと、あらためて実況見分すると、側壁まであと1−2cm、70cm分のスペースに足りず、すでにある壁面の大棚全体を少しだけずらさなければならない。3列だけとはいえ、まさか壁面3mの高さまでびっしり入った本を全部下ろす気にはならなかった。どこまでずらすか、床や天井にテープで印をつけておいて、突っ張りをわずかに緩め、強引に上を少し押し倒して上部の位置を合わせる。その上で、床にしゃがみ込んで壁と本棚の柱の間に入り込み、渾身の力で棚の柱の基部を押し出す。こうして、何とかぴったり3cm右にスライドさせることに成功した。柱の足裏をフェルトのクッション材にしておいてよかった。


切り出しと組み立ては、スムーズに進んだ。1本の柱に、棚板も突き出る梁も全部取り付けておいて、そのまま一気に、すでにある書棚に結合する、という強引な手法なので、スーツケースが届いた時の段ボール箱などで、柱を橋渡し状態にして、ちょっとアクロバティックな作業になった。二人以上ならなんてことのない「立てる」だけの作業も、一人では照明にぶつけず、無理やり1本の柱のまわりにくっつけた棚が外れないようにするのが難しくて、脚立の配置やどの軌跡で柱を取り回し、どう支えながら登るかなど、やたら手順を踏まなければならないものになる。ただ、飛び出させたダボ3本をすでにある書棚に開けた穴に挿せば一体になる、という方法は大当たりで、柱を苦心して立てた後は、接合も木ねじによる固定作業もすんなりと運び、あっという間に完成。相方や子供たちが帰ってくる前に、工具の片付け、荷物の収納まで何とか間に合わせることができた。


相方はもちろん喜んでくれたが、何となく立ち入りにくい部屋だと思っていたらしい娘がやたら感激してくれたのが面白かった。久しぶりに物置から普通の部屋に戻ったことが私自身は相当にうれしくて、北側で風通しがいいこともあって、つい何度も足を運んでぼんやり佇んでしまう。


[fin]