ARの弾を買いに


ある程度まとまった量を買ってくれるなら、セレクト作業します、ということだったので、Mくんのところから買い物をする機会はそうはないし、一度やってもらおうかしら、と京都までARを担いで出かけた。デジタルピストルの記録会会場になった時に訪れて以来だから、K銃砲は数年ぶりである。店頭にMくんが立っているのを見るのは今回が初めてだった。


固定台に万力で銃を固定し、弾速計を通してメイトン製の電子標的に向かって10発ずつグルーピングを取っては、ロットをチェンジしていく。
反動の殆ど無いエアライフルの弾のテストは、簡単なように見えるが、コッキングの影響を受けないくらいにしっかり銃を固定するのは意外に難しい。こういうしっかりとした設備がない場合は、精密に点支持できるV字型の支持台に銃身を下に向けて置いて、コッキングの度に台から銃を離して、そっとまた台に戻す、という方法で行うことができる。銃砲店のようにロットを揃えることはできないが、ブランドや径を決めるくらいは、その方法でやったことがあり、エアライフルでどのくらいのグルーピングができるかは私も経験的に知っている。


はじめはまずまず順調に運んだのだけれど、それでもどうもグルーピングはその経験に照らし合わせると全般に少し大きいように感じた。そのうち、その度合いはだんだんひどくなり、10年生の銃自体についても、ちょっとガタが来ているようなことを言われてしまった。
弾速が、やや高すぎるようだ、とその調整も入れてくれたけれど、グルーピングはどんどん大きくなり、最後はとうとうMくんも、支持台や電子標的の方を疑わざるを得なくなってしまったようだった。
四苦八苦が続き、ふたりともちょっとカッカと来てしまったので、お昼ご飯で一息入れ、気を取り直してまた頑張った。残念ながら根本的な改善はないままだったのだけれど、「相対的にいい」ロットを選んで、20缶買ってきた。帰ってきたらもう16時過ぎになっていて、結構疲れてしまった。


昨秋東京のいつもお世話になっている銃砲店にオーバーホールをしてもらって、お墨付きをもらっていたから、機材の方には不安を感じたことはなかったのだけれど、吹き飛んでしまった。10mの伏射はそこそこのレベルでも当たり前にミリ以下の勝負をするので、機材の精度は「前提」みたいなところがある。インドアのエアライフル種目は、比較的簡単にそういうことが可能な資材が手に入り、身体技術だけで勝負できる、という所が気に入っている。けれど、そうも行かないのかな、と動揺している。


今回のできごとは、何か「モノ」が変わった、というわけではないので、突き詰めれば、受け止め方、考え方の問題に落ち着くのだろう。ひとり悶々と悩んでも仕方がないので、銃器に詳しい人達に相談したりして、少し時間をかけて頭の整理をしようと思う。


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