水面が変える景色


通勤経路にある、小さな水田に水が張られた。いよいよ田植えのようである。


昨日、水を入れているときには表面に白い泡が立ち、水も泥で濁っていたが、一夜明けて今朝は、もう土がすっかり落ち着いて、水は澄み切っていた。今日は、まだ日の落ちきる前に帰ることができて、再び水田の横を通ったら、視界が底の方から明るくなって、空が頭上から近づいてきたように感じたので、はっと立ち止まってしまった。
光を映す水面が足元に広がるだけで景色の印象はこんな風に変わっていたのか、と「何となく」の範疇に含まれている「冬との違い」に新しく気づけたことを、ささやかによろこんだ。


[fin]