セラピーとしてのラン


職場は明後日から、入学者決定検査である。
直前の今日明日は昼から生徒を帰して、打ち合わせや準備が行われる。


試験休み前最後の授業の用意が、いつもより少し早く片付いた。
検査を主導する委員の方々は目も回るような忙しさだが、幸い今回はそこから外れているので、全体の打ち合わせが済むと今日はお役御免となった。
明日からは、翌日に担当する係の動きについて毎日綿密なリハーサルがあるので、時間的に余裕があるのは今日だけだろう。


ここしばらく、体調がよくない。
精神的にも余裕がなく、夜も、(0歳の息子に振り回されているところもあるけれど)ぐっすりとは眠れず、相方ともども少しいらいらしがちである。
3キロくらいの増減幅があるのだけれど、体重はここしばらくその上限に張り付いていて、嗜好も甘いものに振れている。際限なく食べずにはいられないような傾向が少し出ていて、心身のバランスの崩れを感じさせる。


ちょっと走ると気持ちいいはずだ、ちょっと走りたいなあ、と思っていたので、少し時間の余裕があるのを幸い、18時前から30分走らせてもらった。
前回のランクリストで、若干の体力の衰えも感じていたから、そのへんの錆落としとしても意識はしているけれど、ちょっと体重コントロールをしておこう、というくらいの軽い気持ちである。
鬱などの心の不調を予防したり、緩和したりする最もいい方法、として軽いランが必ず挙げられるが、今回期待したのは、そのセラピーとしてのランの要素。
人気のない土のグラウンドの上を、延々と一人走れるのは、随分と贅沢なことである。
淡々とリズムを刻んで身体を動かし続けると、しっかりと汗が噴出し、気持ちや考えが一歩後ろへ退いていくような感じがしてくる。
冷たい空気が、身体をしっかり冷やしてくれるので、熱がこもらず、走りやすい。


芯から温まり、爽快感を感じながら職場を後にした。
冬場は、走るのに本当に向いている、と実感した。
今までこんなことすらあまり実感したことがなかった。


本当は、もう少し頻繁なペースで続けられるといいのだけれど、家の状況からいうと、帰宅時間を早めることが大事なので難しい。
しばらくは、いざという時の薬のようなものである。


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