新年


年も明けてから、除夜の鐘を聴きつつ一人実家に帰った。
年越しそばを夕餉に、テレビを観ながら新しい年の始まりを過ごす。
「行く年来る年」に続いて始まる、「年の初めはさだまさし」を今年も見てしまう。
ここ数年、やっと落ち着くのはこの時間帯で、ようやくほっとしながら座って、この番組を観ると、ああ年越しだなと感じる。


朝はすこしゆっくり7時過ぎに起き出して、雨戸を開けて回った。
日本海側は相当に荒れ模様の天候らしいが、こちらは太陽の姿も拝めそうな明るい冬の朝だった。国道9号線では今でも1000台近くの自動車が雪に閉じ込められているのかしら、とふと心配になる。テレビのニュースを見てみるとまだ600台ほど立ち往生しているようだ。ただ、人命を左右するような大事にはなっていないようで安堵する。


昨日は、デザイン、住所録データ更新、印刷とやっていると、年賀状ででまるまる1日かかってしまい、どうしてこんなにかかるかな、と情けない気分だったけれど、一夜明けると、まあそんなものだな、と思えてきた。


実家で娘や相方とはなれて迎える新年は、独身時代のころに戻ったみたいだ。
ドメスティックな時間が支配する年末年始に、そこからどう距離をとっていくか、というようなことをどこか腐心しなければならないように思っていたのが、自分がドメスティックな側になってしまい、その流れの中でこの時間を迎えるようになったので、変な緊張感がなくて心安らかだという大きな違いがある。


午前中に、昨晩刷ったはがきにコメントを書き入れて投函すると、相方の実家へ移動した。
義兄たちの家族と新年の祝いをする。
子どもたちが駆け回る中で食事をする、といった感じは今年も変わらない。
恒例の、甥っ子姪っ子、そこに我が家の娘も加えたみんなでする「発表会」は、進行のピアノを私が担当した。
最年長10歳のRくんが、演出に専念したためか、少し内容が落ち着いて発表らしくなったのが面白かった。


最後にみんなで撮る写真撮影の輪に、去年は中央で微笑んでいた祖母は遺影で加わった。


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