懐メロ


その日は、職場から実家に帰り、娘たちを寝かせてから自宅へと車を走らせていた。


年明けに、同窓会がある。
もしそこで会うことができれば、少なくとも10年以上会っていない人々がほとんどになる。
ひどい逆風の時代の幕開けとともに社会にリリースされた年代だからか、それとも一般的に年数を隔てるとこんな風に感じるものなのか、その辺りは何ともよくわからないのだけれど、そこで会えるだろう人にも、そこで会えない人にも(いやどちらかというと会えない人の方により一層)、今からいろいろ複雑に思いを巡らせてしまうところがある。


会については、実に細やかで行き届いた準備が進められている。ほぼ独力で立ち上げた発起人のMくんには、驚きと感謝しかない。
イベント用のブログが立ち上げられ、書き込んでくれた幾人かのコメントから少し心の準備ができた。とても助かる。二次会のカラオケを呼びかける書き込みなんかもあって、そういうのを見ると何かほっとする。


TUTAYAのカードの有効期限が切れそうになっていることに気がついた。
(Tポイントというのが、どう役に立っているのか、今ひとつ実感がないのだが、いろんなところで「ありませんか?」と問われて出すことが増えた。
給油のとき、エネオスのサービスステーションで2円割り引いてもらえる、というのが私の中では一番大きいだろうか。)
少し遅くなってしまって、もう深夜だったけれど、期限が明日までだったので、久しぶりに店に足を踏み入れ、更新がてら7泊8日のつもりでCDを借りることにした。


THE OMEGA TRIBE
同窓会モード、というのもあって、古いディスクをぽいぽいと3枚放り込んでレジに進んだ。
店員の、5枚1000円ですよ、の甘言に乗って、2枚追加しに戻ったら、うっかり新作を混ぜてしまった。
1泊2日になります、と言われてから気がついたが、何となく面倒でそのまま支払いを済ませる。
翌日は職場から実家に帰らなければならず、返却は無理だった。
延滞料金を覚悟するが、家に着いてみると、なんとなくそれが馬鹿らしくなって、結局さっさとPCに読み込ませると、店まで再び車を走らせて日付も変わってから返却した。


杉山清貴の声を久しぶりに聞いたら、一遍に20年以上遡って、息苦しいような、居心地の悪い当時の感覚まで甦ってくるように感じた。


[fin]