20世紀の100冊


関川夏央氏の「新潮文庫20世紀の100冊」を読んだ。
新潮文庫20世紀の100冊 (新潮新書)


ときどきこういう、作品の概説がずらっと並んだものを読みたくなる。
細切れに読んでも大丈夫なので、持ち歩いていると思わぬところで読めたりするのもこういう本のいいところである。


新潮文庫が同様のタイトルを冠してフェアをやったときのごつい帯文に書かれた文章を集めたものである。
関川氏に依頼するところに「豪華さ」を感じた。
1冊について1ページだから、分量はわずかだが、作品ごとに切れ切れな「解説」の文章が1年1年隣り合って並ぶと、立体的な年表の模型のようになって、ある時期の「気分」や「状況」のようなものが見える感じになるのが面白かった。


知識としてはすでにあったけれど、時間についての距離感からは「意外に新しいのだな」、「最近のことなのだな」、と感じるできごとや本が多くあったことが印象的だった。
私自身が年を取ったということでもあるのだろう。
年の差は縮まらないけれど、ずっと読んでいる作家とは、自分の年齢におけるその「年の差の割合」がどんどん小さくなって、近づいてくるような感覚になる。
俗に言われる「年を取ったらわかる」、とはこういうことなのだろうな、と今回の読書で思った。


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