セミ

Y103books2010-07-26



土曜日の夜、相方の実家でセミの羽化を見た。
実際に見たのは初めてだった。


夕方に、ずんずんとセミの幼虫がブロック塀伝いに歩いていくのを見つけたので追っていくと、家の裏でじっと動かなくなった。
暗くなってから、時々懐中電灯片手に見に行った。
一晩くらいかかるのか、と思っていたら、足場が決まってからは早かった。
背からせり出したのを確認してから、数十分後に行ってみると、もうすっかりセミの形になっていた。
緑と白で構成された儚げな姿は、透明な鎧をまとって大音声を張り上げる、逞しい見慣れた姿とは打って変わって、美しい。


娘にも、窓越しに照らして見せたのだけれど、手に握り締めている折り紙の方が気になっているようだった。
まだちょっと、「羽化」と言っても、ピンとはこない。
それでも抜け殻には、こわごわながらも興味深々で、虫箱に入れて持ち歩いたりしている。


保育園では、日課のリズム運動のほかにも、毎日のように仮設のプールで水遊びをし、絵を描いたり、散策に出たりと、のびのび自然の中で元気一杯に過ごさせてもらっているようだ。
保育をしている先生たちも子どもたちも、とってもたくましくて、野山の食べられる実なんかにもくわしいし、生き物にもどんどん触れてくる。
ニュータウン」周辺にたくさん残っていた田んぼや野山を走り回って、虫取り少年をしていた幼い頃の自分を振り返って、そういうことを娘もまたやっているらしいのが、うれしい。


この間は、「今日は、セミ触るって言ってたのにさわられへんかったー」
と悔しそうに言って帰って来ていた。
どうも、セミを捕まえてくる子がいて、小さい子たちの間では、それを持てるかどうかを競ったりしているらしい。
宣言しては、ちょっと怖くて断念する、というような日が幾日かあったようである。
しかし昨日、どうも触れるようになったらしいようなことを言っていた。


水遊びの方も、1歳だった去年とは随分様子が違うようで、昨年は、「水着に着替えたけれど、ずっと部屋で遊んでいた」、なんて話もよく聞いたのだけれど、今年は水に入るのが楽しくて仕方ないらしい。
もともと頭を洗うとき、ざぶっと上からお湯をかけるスタイルでやっていたので、顔に水が掛かるのは割合平気だったのだけれど、今年はもう一歩進んで、顔を水につけるのが面白いらしい。


お風呂に入ると、顔をつけてはぶくぶくと息を吐くのを、得意になって見せてくれる。
底に手を着いてうつぶせになり、泳ぐように足を伸ばして、斜めに顔をつけたり、座ったまま横から顔を半分つけてみたり、といろいろな仕草をして、ふざけてみせる。
どうも頭のてっぺんまで沈むのは怖くてできないらしく、今はちょっとした「あこがれのパフォーマンス」のようだ。
「パパやってー」、と頭まで何度も浸からされる。


夏になってから、湯温を38度くらいのぬるめにしていて、のぼせないからか、いつまでも湯船から上がってこないで遊んでいる。
こちらとしては、恐怖心が薄れたら薄れたで、かえって危ないように思えて、目が離せない感じだ。


[fin]