レイズナー


蒼き流星SPTレイズナーというアニメーション作品がある。


アルプスの少女ハイジ宇宙戦艦ヤマトが、同時に初放映されていたとき、それをリアルタイムで観ていた3歳児の私は、大人になってもそういうものに現を抜かすことが、何となくそう奇怪なことでもない、という現在の状況を作り出した世代の真ん中にいる。
蒼き流星SPTレイズナー DVD PERFECT BOX-01


それこそマジカルな変身モノからコミックのアニメ化ものまで、つまみ見ていたが、SF、リアルロボットアニメは、どうしても気になるジャンルだった。
しかしそれも、中学生になって宮崎アニメが登場。リアルロボットも、ダンバインやゴッドマーズなど、キャラクターの美形ぶりに評判のウエイトのある作品が出てきたり、聖闘士星矢みたいのが人気を博して、女の子がファンについたり、と作品群のカラーがなんとなく変化。徐々に、テレビ放映されるリアルロボット系すべてを網羅するように関心を向ける、ということはだんだんなくなって、新しく出てくる作品群からは急速に遠ざかっていくようになった。


(実は新しいカラーが幅をきかせ始めた理由でもあると思うのだけれど)「リアルさ」の方向が、この直前に出た「装甲騎兵ボトムズ」という作品で行き着くところまで行き、「(そちらの方向への追求は)もういいか」と思ったのも一因である。


その「ボトムズ」と同じ監督(高橋良輔氏)の作品、ダグラムボトムズ、ときて、次がレイズナーだった。
同じ時期に、傍らでは、長らくの沈黙を破って、大本命の「機動戦士ガンダム」が「Zガンダム」というタイトルでテレビに復活した。このころがこのジャンルにおけるちょっとしたピークだったことは間違いないと思う。


興味の方向は「リアルさ」にありながら、その方向に少し疲れを感じていたところへ、レイズナーは、リアルさを保ちつつもストレートさと、さわやかさに満ちていて、とても格好良かった。
(一方のZガンダムは、「疲れ」を感じている方向へ、満を持して堂々と突き抜けていこうとするように感じられた。気にはなったけれど、私は食いつく感じにはなれなかった。)


ひょんなことから、最近急に気になってしまい、ついDVDをぽちっとやってしまった。
合間にちらちらと再生してみる。


・・・1985年ははるか昔になりにけり。
冷戦構造下で、しかしなんとなく浮ついていた当時の世の空気に対して、そこはかとなく感じていた違和感をすくい取ってくれた、きまじめでさわやかな登場人物たちに再会して、懐かしさ以上の元気を与えてもらった。


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