情報モラル等指導者育成研修


1日目は午後半日、2日目は朝から全日、最終日の3日目は午前中、というボリュームで行われた。
セッションによっては、机を動かして対面で座り、グループ単位のワークもする。


受講者は、小学校・中学校・高等学校・支援学校の教員、さらには市町村や府県の教育委員会や教育センターの指導主事まで幅広い。それぞれに職場で「研修をする側」となる上で必要となる、知識・スキル・情報の共有を目指す。
受講者の職場の種類に応じてグループ分けがなされており、グループワークの発表では、その職場の違いによる切り口の違いが際立って、とても面白かった。
普段から教員を研修している教育委員会や教育センターの先生方からは、新味はあまりないものの、さすがに手馴れた感じの発表ぶりが見られたし、私学の高等学校から来ている先生方のグループからは、対象の年代こそ私が教えているのと同じとはいえ、状況のまったく異なる、本物のネット犯罪者すれすれ一歩手前というような屈強な使い手と対峙しなければならない苦悩が漏らされる。こちらも一緒に唸ってしまった。


いわゆる「情報モラル」をどう教育の中で行うか、は喫緊の課題であるが、「情報」と名がつくばかりに、この言葉にしみついたイメージが、情報機器やテクノロジー的なものを連想させてしまうために、どうも取り組みがうまく進まないようである。
この課題は、どこかの教科だけに位置づけられるようなものではなくて、ごくジェネラルな「コミュニケーション技術」の問題なのであるが、対象とする年齢が上がるほど、たとえば「『情報科』でやればいいことじゃないか」みたいなことになっており、結局問題が起こったときだけ、その処理窓口として特定の教科担当者が酷使される、という実態になっているようだ。


私の職場は、「教科」の授業全般への信頼があまり高くないことが幸いして、先進的ともいえるくらい、教科の枠とは無関係に、生徒支援の取り組みの中で位置づけられ、行われている。
それが「いいこと」であることを、今回のディスカッションの中で「知った」くらいであるから、私のこれまでの理解などかわいいものである。
「ネットいじめ」が実際に起こる現状に危機感を持って、「何かもっと違う、不勉強ゆえに知らない対処法や理念があるのか」と臨んだものの、その対策はあれで「正解」なのだ、という結論だった。
この問題の様態は、発生はもちろん、解決に至っても「すっきりしないものだ」ということを、今回は学んだような気がする。


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