校内のネットワーク整備


この年度末は、もう、本当に大変である。
麻生内閣の置き土産、「景気浮揚のための補正予算」が回りまわって、学校のICT環境整備事業となり、イントラネット用の機材や環境整備作業が実質1ヶ月の間にどかどか行われている。


その前から決まっていた、数年越しですることになっていた情報ネットワーク環境の総取替え事業は、その位置や意義の一部を、今回突然振って沸いた事業に奪われながらも、やはりその事業で「換える」ことはできないために続行中だ。
(まあ、そりゃあそうだろう。こういう情報環境整備は、何か物を買って設置すればOKという訳にはいかない。それぞれの場所で行われている情報処理の内容や環境に応じて、ある程度の時間をかけて設計や調整をする必要のあるものだ。年度内に何円執行しなさい」ということがまず至上命題であるような事業で、代替することは難しいことである。)
その事業は、内容に変化を加える必要に迫られて、そのための新しい調査がさらに各校に課されつつ進んでいる。


これは仕事上、本業からは遠いものなのに、相当に神経も手間もとられる。
一見似たような、しかし回線も予算元も異なる事業の指示や作業が、入れ替わり立ち代わり入ってきて、「えーと、これはどっちの事業の何の作業だっけ」、「今日来る業者は、どちらの何の作業をするの?」みたいな感じで、事務室と窓口を勤める私と、管理職で、うんうん唸りながら、将来のこの職場の情報環境を左右するような、とっさの決断を積み重ねなければならない状況になっている。


(決して情報リテラシーが高いとはいえない)ユーザーが、既存の環境から、違和感のなく次の環境へと移行できるよう、「次の環境」自体を用意しつつ、その道案内の準備もしなければならない。


開校時に設置されたまま休眠していた配線を、今回の新規回線導入に際して活用することになり、昨年には事務室の担当者に代わって、図面や計画書をひっくり返しつつ当時に交わされた会話の記憶を辿って、業者や委員会関係者に説明したりした。それをもとにした工事が年末に行われ、いよいよ機器の試験的な配置が行われることになったのだが、その段になって、基幹ハブの設定に問題があるらしくて、うまくIPが設定できない、という問題が浮上。書類を繰ってもどうしてもわからないため、すでに異動された事務の職員と連絡を取って、開校当時に工事を受注していた業者に問い合わせ、その当時の作業について聞き取りをする。
どうにも私自身が電気工事の専門家ではないので、ざっくりしたことしかわからないが、今回の施工業者の工事確認時に、その内容を伝えつつ、その問題解決に立ち会う。


幸運にも、その担当者がとても親切な方で、その業者にとっては一銭にもならない作業であるのに、開校当時の業者が設置した機器の問題を、仮説を立てながらあれこれ試行錯誤して解決してくださった。
結果的に、機器がデフォルトのアドレスのままでなく、IPとばしの処理がなされていたことがわかり、今回のネットワーク設計に合わせたアドレスをそこへ振り直すことができた。
私自身はスイッチングハブ自体がアドレスを持っていることがある、ということを知らなかったので、はじめは問題の在処がなんだかよくわからなかった。リモートでネットワークの状況が管理される環境では、基幹ハブにはそう機能をもつものを設置するのが当然なのだということも、初めて知った。


これでラインがようやく完成したが、まだこれから、端末が数次にわけて届くとともに、その設定やら周辺機器やらの作業が順次入る。
それら、業者の手が入る作業がすべて終わった後の年度末までの短い期間で、頭を下げてネットワークの停止する日を設け、職場の環境へのそれらのカスタマイズ・大量のデータの旧環境からの移動・機器の設置といったことを、一気にやってしまわなければならない。


これだけにかかりきりになれるならば、そう大したことではないのだが、同時に進行しなければならない(どちらかというと本業といえる)他の仕事のことを思うと、かなり気が重い。


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