本箱をいっしょにつくる

一緒につくる



娘の「蔵書」は、リビングスペースの籠に入っている。
その籠は、サイドテーブルとしても棚としても使うことができる、スッタカブルな立方体様の家具につっこんである。


娘はこの籠を自分で引っ張り出してきて、ここから絵本を取る。
籠には、背表紙が見えるように立てた状態で絵本を入れているのだけれど、娘には絵本を縦に入れるのが難しいから、出し入れを幾度かするうち、籠の上に蓋するように絵本が入ってしまう。


「気に入っているから」でもあるのだろうけれど、このごろ上の方にある同じ絵本ばかりを取ってくるような気がする。そこで籠ではなく、本を自分で立てて入れることのできる本箱を用意してあげることにした。
ただ、新しく箱が増えるのは、スペース的にちょっといただけない感じがするので、今籠を入れている「立方体」にそれらしい「壁」をつけて、それ自体を本箱にすることにした。


三方に板をつけさえすれば、そういう風になるのだけれど、この家具のよさは、見通しのよさから来る軽快さなので、取り付ける板はできるだけ少ない面積にして、絵本が倒れたり出てきてしまったりするのを、さりげなく防げるようにしたいと考えた。
家に残っている端材の1×4材でできる構造をあれこれ考えて、「コ」の字を二つ組み合わせたような枠を、「立方体」の内側にぴったり嵌めるデザインに決めた。
コースレッドを打つところは全部「立方体」の柱で隠れて、外からは見えなくなる。
のこぎりでちょいちょいと材を切ってコースレッドで「コ」をつくり、ダボ4つで「コ」どうしをつなぐだけの構造だから、そんなには手がかからないはずだ。


昼寝あけの娘に、「本箱つくるそー」と声をかけて、一緒に工具を出し横において作業する。
本人は手伝っているつもり(?)で、端材や電動ドライバのビットをせっせと並べたり、私に渡したり、三輪車の籠に入れて押してみたりして、楽しそうにしている。
電動のドライバやドリルの音は怖がるけれど、のこぎりでごしごし木を切るのは平気で、面白そうに覗き込む。


部品は単純なので、あっという間に切り出せたけれど、いざ組み立てる段になって、ぴったり立方体にはまるのに、コースレッドを打つところは隠れる、というのは無理な話だということに気がついた。
・・・そりゃあそうだ。さて、どうしたものか。


天板のすぐ下に来る部材を、予定の1×4材よりも薄いヒノキの板に変更して、縦のサイズだけ少し「立方体」の内面より小さくして、傾けながら押し込む余裕を作ることにする。
その後も、うっかり「立方体」の柱を囲むように組んでしまってやり直すなど、少々どたばたしたが、何とか思ったとおりの枠を取り付けることができた。


久しぶりにやるとおかしなことをするものだ、と苦笑いしつつ、すっきりと絵本を並べて、娘と完成を喜んだ。
さあて、これでもやっぱり娘は「ノンタン」と「ぐりとぐら」ばかり「読んでー」と持ってくるのだろうか。


[fin]