人間を幸福にしない日本というシステム


人間を幸福にしない日本というシステム (新潮OH!文庫)
カレル・ヴァン・ウォルフレンの「人間を幸福にしない日本というシステム」を読んだ。
出版されて16年。文庫版になってからでも10年が経つ。
存在を知っていながら、手許にありながら、これまで読まずにいた。


長らく、自分の中の「世直しモード」のようなものにさえ、耐えられないくらいに弱っていたからだが、ここ最近手にしてきた数冊を読む中で、少しそのあたりが元気づけられたということだろう。


面白かった。
ついに本格的な形で「政権交代」が成った今も、古びてしまうことなく、読むに値する一書であろうと思う。
刊行当時の、毀誉褒貶喧しかった状況の中で、半信半疑に読んだ人たちは、改めて確かめるようにして読んでみたら、もう一度驚くことができるに違いない。


当時はおそらく耳新しかったであろう様々なことばや着想が、今では(その理解の程度は別にして)耳慣れたものになっている。
惰性の克服・知識人の裏切り・恐怖の報酬と題して、著者がそれぞれに熱っぽく説く段は、今もまだ、あるいは、今こそ改めて力を持つものだと感じた。
「文化」ということばの卑怯さについても、あらためて意識してみなければならないな、と感じさせられる。


「仕方がない」という言葉を捨てて、大きな視野で周囲を見、知り、考えなければならない、と思わせられた。


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