復帰・帰宅・けんか


職場に復帰した。
インフルエンザによる学年閉鎖が昨日まで一部続いており、生徒の方もまだ足並みが乱れたままで、ようやく2度目の収束を迎えつつあるところである。
しかし、今度は他の学年に感染拡大の兆しが見え、まだ予断を許さない。


2日後に控えた文化祭では、職業科として大規模に飲食店を営業する。調理を3年、食堂接客と調理の一部をを2年、カウンター店舗を1年が受け持つことになっているが、このインフルエンザ騒ぎで、店舗業務の訓練予定がすっかり狂ってしまっている。さらには、感染や濃厚接触による欠席見込み者がすでにたくさんいて、当初の予定からシフトを大幅に組み替えたり調整したりする必要が出てきた。
普通ならとっくにシフトも発表して、担当させる役割に特化した練習をし始めていなければならないのに、シフト発表が本番前日の明日にずれ込む、という危機的な状況である。


ある程度翌日発表するシフトを思い浮かべながらも、緊急時に他の係も引き受けさせられるように、まんべんなく練習させるなど、こちらもいろいろなことを想定してハラハラすると同時に慌しく過ごす。
生徒の帰宅後は、本来前日にするべき店舗の飾りつけなどの作業が、明日はとてもやる時間がなさそうなので、夜遅くまでかかってやってしまう。
肝心の当日に遠征に出て不在にする申し訳なさもあって、なんとかできるところはできるだけ引き受けてやっておくことにする。


一方、私のせいで「濃厚接触者」となった相方と娘は、罹患者の発症から1週間、と実際に罹患した私よりも長く出席・出勤の停止が課せられるため、明後日の金曜日まで職場にも保育所にも行けない。
私が夜遅く帰宅すると、相方の実家から久しぶりに戻ってきていた。


私のせいで仕事にも保育所にも行けないこと、職場でマスクをしていなかったことなどを帰宅早々、延々と非難されて、険悪な空気が続く。
ただでさえ、帰りが遅れて時間が遅くなっているところへ、翌日からの遠征の準備もあって、くたくたになり、明日の仕事のさらに分秒刻みになるであろう危機感と、明後日の早朝にはもう選考会会場にいなければならないのにコンディションが整えられない無念さでいらいらしているところを、明日も言ってみれば休みである相方に延々と嫌味を言われた上に、論理もぐちゃぐちゃに非難がましく延々と泣かれ、挙句には射撃や遠征についてまで散々に言い出したので、すっかり頭に来てしまった。


娘に感染していたら、という懼れの気持ちはもちろんわかるし、罹ったこと自体が「迷惑」であることもわかるが、マスクができないのは、仕事上の譲れない事情故のことであるし、その分、それとは異なる(それなりに涙ぐましい)感染対策をしてこなかったわけではない。
射撃にまつわる遠征や指導による不在については、迷惑を掛けているという気持ちは常にあり、その分、と言っては何なのだろうが、相当にできるだけのことはしているつもりなのだが・・・。何かをどうして欲しいということならば、相当に聞くが、不満不平だけがあって、どうして欲しいのかという内容のないまま、ただめそめそとするのは勘弁して欲しいものである。


大一番を前に、もうすでに勝負があったような気がして、暗澹とした気分で、未明にイライラと布団に入った。


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