瞑想


呼吸を整え、心を静めるひとときを朝に持つことの意義は、昔から知らないわけではない。
しかし、そのような時間を取ることは、いろいろな意味で難しい。


仮に、朝に早く起きて時間を確保する努力を惜しまなかったとしても、独居でなければ、いきなり自分のためだけの時間を一日の一番初めに持ってくることは、気兼ねなしにはできないものである。
仮にもし瞑想に漕ぎつけても、その瞑想の質についての手応えや成果のようなものがわからないままに取り組みつづけることはとても難しい。
漠然とした「行」では、朝特有の時間的な制約がどこかにちらついて、どうにもうまくいかないであろう。


「瞑想ありき」ではなかったのだが、少し試みたいことがあって、脈と呼吸に関してPCでモニターできる、バイオフィードバックの装置を手に入れて、試してみることにした。
これを試すには「瞑想」のようなことをしなければならない。
現在の生活サイクルでできそうな時間は、(装置の手軽さのお陰もあるが)通勤の車内しかない。
イヤフォンとセンサーを使って、車内でちょっとした体内のモニタリングをしながら呼吸を整えてみたりする。


装置で状態が見えると、わかることがたくさんありそうである。
まずは、単純に呼吸を意識することが大変難しいと感じる。
息の吐き方・吸い方だけで幾通りもの方法が自分の中にある。脈との関わり具合となればさらにそのバリエーションは豊かだ。


その持ち方の巧拙はともかく、そのようなひとときを取るようになって、ここ数日、前向きな気分、気持ちが疲れにくい感じ。ささくれにくい自分を感じる。
身近なところで等閑にしていたものを掘り起こして、新しい疑問がたくさん湧いてきている。


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