Guérir


フランス式「うつ」「ストレス」完全撃退法
ダビッド・S・シュレーベルの「フランス式『うつ』『ストレス』完全撃退法」、という本を読み終えた。
原題は「Guérir」というすっきりしたものだ。英語でいえば「Cure」くらいになるのだろう。


読み終えてみて、ああ、こういうタイトル訳にもなっちゃうかな、という気もしたけれど、違和感は拭えない。
著者がフランス人だというだけで、「フランス式」とまとめられるような方法ではないし、結果的に「完全撃退」に嘘はないと思わせる素晴らしい本なのに、「完全撃退法」としてしまうと、安っぽいハウツーものみたいである。
この訳書名では、適切な読者層にこの本がなかなか届かない気がする。


「感情」がうまく取り扱われてこなかったことを明らかにし、西洋医学的な手法が取りこぼしてきたものが何だったのかが、その発達がある水準に達したことで逆に明らかになってきたことがよくわかる。
同じようなことについて、同じような主張されてきたことが、この20年で全く違った相貌を持つようになった。
「ニューサイエンス」になってしまっていた領域に、関わるべき人がたくさん関わるようになり、素直に状況を見つめなおして「オルタナティブ」についても広く視野にいれて臨み、最先端の分析技術や研究成果で新たに取られた裏づけをもって、明晰な再構築がなされるようになった。


この本にたどり着いたのは、バイオフィードバック装置を用いたコヒーレンシーについて詳しく知りたかったためである。
その部分の理解に留まらず、身体の状態が精神・心理と切り離されるものではない、という(よく言われる)ことについて、あらためて目を開かされた。
身体側への働きかけから、心理・身体双方にもたらされる様々について、考えさせられた。
呼吸を手がかりにして心臓へ働きかけること、眼球の運動から心理状態に働きかけること、光や栄養素の影響、愛情が厳とした生物学的な必須性を持っている現実。
個がホメオスタシスを成している仕組みについて本質的に考え、そのために備わっている機能や反応としてあらためて様々な現象を見つめなおし、「不自然」になっている部分を解きほぐす。


実践できそうなヒントに富んでいた。いろいろな場面で、この本に立ち返ることがありそうに思う。


[fin]