HDレコーダー


相方が婦人科に受診に行く留守番をしたり、食事の支度を待ったりと、ひとりで娘を相手にする時間がたっぷりできたので、ひとしきり家事をした後、普段手付かずになっているHDレコーダーをいじくってみた。


AV一式を買い揃えた時に、DVD再生ができてHD録画ができる機械がいるな、と買ったものだが、たまに録画・再生するくらいで、これまでゆっくり触ったことがなかった。
パナソニック 1TB DVDレコーダー DIGA DMR-XW51-K
地上デジタル放送を受信できる機器に換えてしばらくになるが、すごい変化だな、と相変わらず思う。
まずは画質に驚いた。記録してももちろん劣化しない。しかし、私が印象深かったのは、もう少し違うところだった。


私の家は、ビデオデッキをなかなか買わなかったのだが、20年ちょっと前に初めて使った時、映像放送を録画して「所有」したり、それをカセットというパッケージでやりとりできることに感動した記憶は今も鮮明だ。
その「感動」に比べれば、タイマーをセットすることや、テープの残量を確認する手間などは、瑣末なことに思えたし、放送時間の変更などで上手く録れないことがあっても、ひとときは悔しいが、それは仕方のないことだと思えた。


今回の変化では、番組表が「受信」されていて、付加的な情報特に、毎日ある・平日だけある・毎週ある、といったことを判断した上に、放送のしかたや放送時間の変更に対応できるようになっている(Gコード、というのが導入された時に、この辺は随分改善されていたらしいけれど、私は縁がなかった)。
HDはトータルの残量以外を気にする必要がなく、録画されたものは詳細なインデックスが自動的について整列され、どこにあるのかわからなくなったりすることがない。


あのちょっとした不便を解消すべく、せっせと改良が重ねられると、こういう風に到達するのだなあ、という感慨があった。
年末に再放送のアニメ番組を録画予約してあったので、どうなっているか確かめつつ、編集などの機能をいじってみる。


いい年をして、平日の朝に「こども劇場」なんて冠で放映されている番組をいじくりまわしているのは、ちょっと情けなく感じる部分もあるが、「機動戦士ガンダム」という番組、数十年を隔てて、すっかりちょっとした現代の教養みたいになっている。
初めての放映から大ブームが巻き起こるまでの間が、私の小学生時代と重なり、しっかり私は「ガンダム世代」で括られる。静かに放映が終わった後、再放送・映画公開で爆発的なヒットとなったのだが、プラモデルだ、映画だ、と当時男の子の相当の部分が無縁ではすまない熱狂だった。
セールス的にも成功を収めて後続の作品群が続いたことが大きいのだろうけれど、単に熱狂の記憶が懐かしまれて、というのではない残り方になった。
周囲にたくさんいるコアなファンには遥かに及ばないし、張り合う気もないのだけれど、気がつけばなんだかんだとよく観たし、気になり続ける要素があって、私も好きである。


ただ地道な熱心さが根本的に欠けているので、43話もある番組はどこかで必ず見落している。
テレビ情報誌を熱心に見る教え子のお陰で再放送に偶然気がつき、ちょっとした「所有欲」も目覚めて、機械の性能を試しがてら録画予約をセットしてみた、というところである。


ローカル局の朝のこども番組の再放送は、周辺の番組と合わせて放送スケジュールの隙間埋めに使われているのがありありで、1日1話を基本に放送を始めつつ、途中で急に1日だけ2話まとめて放映したり、年末までに放映を終わらせるために途中から1日2話になり、最終盤に至っては1日4話の日や3話の日が混在する、という変幻自在な編成になっていた。放映開始前日に番組名で予約をセットしたきり放ってあったのだが、録画記録を見て、不規則な放映スケジュールとそれにしっかり対応してしまう機械の賢さの両方にびっくりした。


CMなど、いらないところを消去したり、番組名を整えたりする「編集」操作をあれこれやってみた。
部分消去は、コマ単位でできてしまうし、早送りのスピードがテープと違って超高速から倍速まで自在にコントロールできるために、面倒なはずのことが、かなり手軽にできてしまう。


ひとしきりあれこれやって、やっと自分の家の機械、という感じになった。


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