抽斗ストッパー

抽斗ストッパー



娘は日一日と力をつけ、伝い歩きの手は離さないものの、椅子を押して歩いたり、大人の膝頭をつかんでついて歩く足取りは確かで、押せば後ろ向きにも足が出るし、引きずってやろうとスピードを上げても足がついてきたりする。
実家に帰った際には、階段をずんずんと一番上まで一人で上ってしまった。
戸棚も抽斗もふすまも開けてしまう。
タオルを出して喜ぶくらいならいいのだが、食器の入った抽斗を勢いよく開けたり、洗剤などの入っている洗面の下の戸を開けたりするのは、危険を伴うので、できればさせたくない。


幼児が扉などを開けないようにする、繰り返し貼れるスポンジシールを試してみたのだが、開けるところを見られて、あっという間にはがし方をマスターされてしまった。
相方は、懲りずに今度は、同様の目的で作られた、扉に貼り付ける樹脂製のロックを買ってきた。
なるほど、これは両側のボタンを同時にぐっと押さえないとロックが外れないので大丈夫そうである。
洗面の下の扉には、早速取り付けてみた。
しかし水屋には、見た目に大仰だし、はずす時に表面がはがれて汚くなりそうだったので、どうも気が進まない。


横からピンを刺して、それを抜き差しする方式なら、さりげないのを自作できるんじゃないかな、と思った。
思い立つとすぐに試したみたくなり、ラミン棒の端材を引っ張り出して来る。
径が10mmのものと4mmのものを組み合わせて、ピンを作ってみる。
少し勇気が要ったが、ドリルで側板から抽斗まで貫通する穴を開け、挿してみた。


すんなりと差さって、抽斗はびくとも動かなくなった。少し抜き差しに摩擦があって手ごたえがあるのもいい。
うっかり、ピンを刺したまま抽斗を開けようとして、ぎっくり腰のようにならないように気をつけないといけない。


合板の中にある空洞と重なったところでは、穴周りが少し荒れてしまったが、全体にきれいにできた。
荒れたところは、また後日シートできれいに仕上げておこう。
安価で、ちょっと味わいのある対策になったと思うのだけれど、どうだろう。


これもまた、開けているところを見られたら、娘にピンをさっと抜く喜びを覚えられて、抽斗を開けられてしまうのだろうか?


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