人の輪の中で


今年は、雪混じりの荒れ模様、という事前の予報ほどではなかったものの、曇りがちで小雨もぱらつく寒い正月だった。
2日まで実家で過ごした。


元日は、年賀状を取ったり、干しっぱなしになっている洗濯物を片付けたりする必要があって、一人で数2-3時間だけ家に戻った。
そのついでに、頼まれた追加の年賀状印刷もやってしまいながら、手が回らずにいた、自分の部屋の片づけを少しする。


2日には昼前に、祖父の家に5人であいさつに行った。
叔父一家が空気を支配していて、祖父とは本当に挨拶くらいしかせずに終わってしまった。年始のあいさつは、元気な顔をお互いに見せ合うことができれば、そのくらいでいいのかもしれない。


そのほかは、娘の相手をしたり、いつまでも片付かないレポートにちょこちょこ手を出したりするくらいで、不思議なほど、あっという間に過ぎた。
今年は、ほとんどテレビを観ることなく、外出も初詣はおろか散歩程度すらしなかった。


娘にとっては、普段は母と二人で過ごす時間が長いのに、年末からずっと私がいる上に、正月からはそこに祖父母も加わった。
周りに常に見知った人がたくさんいて、なんだかんだと構ってもらえるのが、とってもうれしいようだ。
この1週間で、急に出来ることが増えた。一生懸命発する、未分化な言葉の芽にも、早口言葉のような繰り返し音が新しく加わって、急にニュアンスが豊かになった。
私たちが元旦に神棚に向かって礼をしたり拍を打ったりする様子や、仏壇に手を合わせたりするしぐさをよく見ていたようで、戸が開いている隙に一人で仏壇のところへ行っては、数珠を取ってうんうん唸りながらお辞儀を繰り返したのには驚いた。


昨晩一旦家に戻って、今日は昼前から相方の実家に向かった。
4家族14人、子供たちが小2を筆頭に5人。
にぎやかな中で、娘はどんな風に反応するのだろう、と興味半分心配半分だったが、思いの外逞しかった。おにいちゃんおねえちゃんたちが親切に接してくれたお陰もあってすぐに慣れ、臆することなく混じっていた。
歌には一緒にリズムをとり、手をたたき、おもちゃや人形も負けずに手にとって楽しんでいる様子だった。
ふと気がつくと、いとこの歌う「どんぐりころころ」の輪の中で、「こんにちは」のところで、頭をぴょこんと下げたりしていて、またまた驚かされた。
大人相手に構ってもらうよりも、程よくマイペースでいけるようで、興奮しすぎることもなく、夜もよく寝た。


人の輪の中で刺激を受けて、ぐっと成長する様を目の当たりにすると、いろいろと考えさせられる。
実家以外は出かけることもなく、最後まで家族密着の冬休みになりそうだが、娘にも私にも大切な時間が過ごせているように思う。


[fin]