くるみ共同保育所

くるみ共同保育所



今日は朝から、保育所の体験保育に参加した。
先日観にいった2つの保育所と違って、少し家からは遠い。
4月に復帰しようとしている、相方の職場からの方が近いだろうか。


距離の方に相当身構えていたが、思ったよりは近く感じた。
しかし、毎朝30分程度車を使わなければならない負担は、いろいろな場面を想像するとかなり気になる。


ぎりぎりに着いて、慌しく入った。
木造の開放的な建物にびっくりした。広い軒先、縁側や洗い場、といった外と触れる部分が随分豊かで、楽しそうな造りをしている。
大きなプラタナスの木が色づいている。ぱっと見渡すと、柿の木や、みかんの木が見えた。
恐る恐る中に入ると広大な板の間でグランドピアノが楽しげに鳴り響いていて、子供たちと先生たちが大きな声で歌っている。
隣接する業界で働いているので、自ずとそういう「目」で見てしまうが、音楽も歌もとてもいい。


少し調べると、さくら・さくらんぼ保育園の実践というのがひとつの保育のスタイルとして、長く高く評価されていることや、その中で音楽やリズム運動が大切にされていることがわかるけれど、その姉妹園であるここで真っ先に触れたのがそれだったわけだ。
0歳から学童の10歳近い子までが一緒に大きな板の間で、歌や手遊びをする。
それが終わると年齢グループ別に固まって板の間を囲み、順に真ん中を使ってリズム運動をする。


ここで、体験保育組は園内の案内に行った。相方が娘とそちらに行って、私はリズム運動の方に参加することになった。
5組が来ていたのだが、私を含め3人の「父」がリズム運動に参加することになった。
他の保育園から「1日研修」に来ている、たくさんの保育師さんに混じって、板の間の一角に正座して並ぶ。


年長の子から順に音楽に合わせて、というより音にしたがって、所狭しと体を動かす。
それぞれに動きには決まりがあり、ステップのリズム、足指の使い方など、「完成形」がはっきりとある。内容も、それぞれに筋力をつける動き、スピードやバランスをつける動き、関節に働きかける動き、ボディイメージを強める運動、とそれぞれに狙いがある。年齢ごとに求めるレベルに違いはあって、指導するときの指示や注意は私が見る限り、その狙いに沿ったとても的確なもので、すごいなと思った。(身体操作の指導は、やろうとしていることの狙いが見えても、指示の場面でずっこけることが多い。幼稚園や保育園など幼少の子を相手にする場面は、本質的でシンプルなことを教えることになるので特に。


年長の子の動きを見て、次の年齢のグループがまた運動して…と続いて、最後には、先生も含め「大人」が同じように運動をする。
異年齢の運動を、それぞれに一生懸命に見るのも、いいことだなあと思う。
園長さんに注意されたりしながら、私たちも四つ這いで走ったり、高這いで走ったり、両手でリズムを取りながらステップを刻んで走ったり、亀のポーズや自転車漕ぎをしたりする。
年長の子のステップの課題などは、難しくてなかなかすぐにはできず、スキップになってしまったりする。研修に来ている保育師さんもなかなかうまくいかないようだ。
子供たちは、こともなげに音に合わせて、のびのびとうれしそうに体を動かしている。1歳のグループでも、しっかりひとりでそれぞれのポーズやステップを楽しげにする。
あ、障害があるな、という子も数人いたのだが、少し手助けをしてもらって同じことをしている。
ノーマライゼーションという言葉を無理に思いおこす必要もないくらいに、自然にさりげなく一緒だった。


12時前になって、昼食をいただく。
大きく切った野菜を白和えしたり、煮たりしたものが主体の食事だった。子供たちは、素材の味でそれらをを食べる。
相方は一度見学に行った時に、ここの食事の様子を見て離乳食を始めるときの参考にしたようで、私には見慣れた食事だったのだが、他の見学者には少し驚きだったようだ。
娘は、いつものようにごぼうやにんじんを手で持ってむしゃむしゃ食べている。
まわりにはご飯粒やうまく口に入らなかった欠片がとびちって、いつもちょっとすごいことになるのだが、食べる方法を身につける過程として、そういう時期を経るのは大切なことなのだろう、と思う。
板の間で、素材を蒸したり煮たりしたものやご飯を食べる分には、飛び散っても大して片付けは大変ではない。
汚れが気になるソースやしょうゆ、油なんかを使うのは、上手に食べれるようになってからなのだから、なんだかうまい具合になっているものだと思ったりする。


午睡に寝かしつけている間に懇談会が始まり、私がはじめから参加した。
いきなり最初に発言をすることになって、どぎまぎしたが、見ることになった経緯や今日の感想を述べた。
質問ややりとりから、食や保育方法に関して隅々まで行き届いていて揺るがない凄み、NPO法人として運営する資金面の大変さをカバーする熱意と仕事への愛など、いろいろなものを感じた。


ここは、娘にとってどうか、ということを抜きにしても、私にとってとても面白いところだ。
まだ、いろいろな状況を想定しながら検討しなければならないけれど、ここに通わせられたらいいなあ、と思った。


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