ナショナルチーム選考会


昨日で全日本選手権は終わり、今日からは、ナショナルチームの選考会になる。
50mは三姿勢140発・100発、という変則種目と10m種目による2日間のダブルマッチ。


ナショナルチーム制が復活するのは、14年ぶりになるだろうか。
賛否様々であるが、長期的に見るとマイナス、短期的にはプラスであろうと私は思う。
どんな制度でも、うまくやらなければ益はない。しかし、国際的に成績の低迷が続き、種目の存続を賭けて対外的に示せる成果が必要になってきた時期であることは確かで、財政的に厳しい時にフィットした方法でもあるし、カンフル剤的にここでこの制度を採ること自体は悪くないかもしれない。


私は13年前に茨城県で行われた、前のナショナルチーム制の最後の選考会に出場した。
今回の参加者の中で当時の選考会に出ていたのは、今や日本のエースとなった山下君を含め3人くらいではなかろうか。
そう思うと、世代交代がゆっくりな種目とはいえ、さすがに顔ぶれは変わっている。


ナショナルチームの選出母体となるナショナル・トレーニングチームをまず選出して、その中からナショナルチームを選出する、という二段構えの選考になっていた。
1週目のナショナルトレーニングチーム選考会に勝ち残らなければ翌週には進めない仕組みである。
レベルはともかく、2週間連続の(しかも2週目は取る必要があるかどうかわからない)相当な日数の休みが必要で、まず普通に勤めていては参加は難しいなあ、と思ったものだ。


最終回となった13年前は、アトランタ五輪の前年で、派遣選手はナショナルチームにいる者から選ばれることがすでに決まっていた。
私が参加していたのは、新しく選手を獲る気があるのかどうかがはなはだ怪しい、という状況下のナショナルトレーニングチーム選考会だった。
エアライフル立射60発競技で出場したのだが、基準突破者の少なさや、そんなシチュエーションの選考会だったこともあって、大学1年の山下君と私が二人でダブルマッチを戦った。私はそこで(今となっては全く大した点数ではないのだが)自己新を大幅に更新して山下君に1勝1敗、2日通算得点が同点と、善戦した。
50mも行われていて、そちらはある程度の数の選手が出ていたが、結局翌週のナショナルチーム選考会には私たちも含め、誰も進めなかったように記憶する。
こんなところまで来れるものなのだ、といちいち感慨深かったころの、懐かしい思い出である。


さて今日は、仕事から2日間離れたお陰で、気がかりなことに無意識のうちに不断に心を乱される、慌しい心や身体の状態からは抜け出ている。
しっかり自分の世界を作っても、集中がふと途切れて違うことをしてしまう心配がなくなった。持っている技術をスムーズに導き出す努力だけすれば、集中を保って試合を行えそうであった。
運転からエコドライブを心がけ、アンジェラ・アキをBGMに心穏やかに試合場まで移動。
試合前から最後の1発まで、スムーズに時間をこなしていった。
最終96の589。終盤は、スタミナが持たなかった。できる限りの格闘はしたが、どうにもならず。するべきトレーニングができていない以上やむをえない。
しかし、それを除けば、現状からは十分に納得できるパフォーマンスだった。


この舞台で力試しをして、自分を振り返ることのできる幸せだけをかみ締める。


[fin]