八瀬へ

夜の京都



5日間にわたって行われている、全日本選手権ナショナルチーム選考会。
ARだけ出場する私にとっては、今日は中休み。
北京にも一緒に遠征したAさんが、はじめて三姿勢をするというので、後輩たちの指導がてら見てあげることになった。


比叡山のふもと、風光明媚な景色の中にその練習場はある。
私も射撃を始めた当初に、せっせと通ったところだ。足を踏み入れるのは何年ぶりだろうか。
フェンスの補修、場内の舗装、小屋の改修と手入れがなされて、私が通っていた10数年前よりきれいになっている。


射撃については、撃つ以外の仕事に追われて忙しく過ぎた今年。
射撃を始めて、もう20年近くが過ぎようとしている。
指導の合間に、練習場のまわりを久しぶりに一人歩きして、これまでを振り返る。
できる範囲でといいながら、ただ断れず、求められるままに忙しくしている私は、いったい何がしたいのか。


射撃スポーツが世の中に根付くとは、どういう風になることなのか。
もし仮に日本の選手たちが強くなって、それから何を?


ようやく自分のチームで、コーチらしいことができたことにほっとする一方で、自分の原点となる景色の中、答えの出ない問いが頭を駆け巡る。


[fin]