全日本選抜惨敗


職場では、今日は大きなイベントが行われている。これを目指して準備を進め、学習活動が重ねられてきた。
生徒たちの活躍する姿を見たい、という気持ちや、一番大変な「当日」に離脱する心苦しさなど、いろいろあることはわかっていたけれど「この試合は重要なんだ」と自分に言い聞かせて、手配を進めてきた。


会場に程近い相方の実家に昨晩からお世話になっている。
今朝はまだ真っ暗な雨の中、5時に起きて傘を片手にウォーミングアップに出た。
この数日でかなり気温が下がっている。
会場には1時間以上前に到着するようにした。
大会は昨日から始まっているので受検者も少なく、銃器検査は比較的スムーズに進んだ。


地元の役員に、どう考えても問題のない靴の先端部分を、計測器具の使用ミスか構造の間違いかで、削れと指示されたのにはげんなりした。
こちらは相当にいろいろな試合の銃器検査を受けてきているし、その部分についてルール変更があったわけでもない。別に、味方になってほしいとまではいわないけれど、同じ協会員で、そのあたりのことがよくわかっていても、そういうことになってしまうのか。
計測器具は、金属を切り取って作ったもので、定規のように目盛りや何かがあるわけではないので、どうおかしいのか抗議もできない。仕方なく従って削り始めたが、他の役員がおかしいと思って他の検査器具で測りなおしてくれた。全く問題ないことがわかって、検査会場を後にする。
服装の合わせなど、長さを計測する器具には、おかしなものが混じっているのではないか、という疑いを今回はっきりと抱いた。硬さや採点用のゲージなどについては検定があるが、この種の検査器具については、気をつける必要があると思った。


試合自体はスムーズに行われた。
この1週間、決してコンディショニングがうまくいっておらず、集中力の持続に不安があった。
潜在的には、仕事のことが気になっている可能性が拭えなかった。「自分の世界」に入ることは、ぼんやりとした失点にもつながる恐れがあった。耳栓なしにして、その場その場の状況にしっかりつながる方を選んだ。


しかし、調整不足を強く印象付けられる試合展開となる。すんなり運ぶはずのところで、技術的に次から次とほころびが出てくる具合で、どうにもうまくいかない。
必死でつくろいながら進めるうちに疲労し、半ば過ぎには95と絶望的にひどいシリーズが出てしまった。
最後だけはなんとか100で締めたものの582。
残る2回の競技結果と合わせるナショナルチーム選考は、今回の結果だけでほとんど絶望的になってしまった。


会場には、よく見知った選手や役員がたくさんいて、いろいろ言葉をかけあう。
多くの選手は午後にも50m競技が控えているので忙しそうに準備に向かった。
久しぶりに小島さんと話せてうれしかった。
強化部長のKさんからはスタッフとしての相談や依頼があった。今後について、またずっしりとしょってしまったような思いがする。


競技者としてはまことにお粗末な備えしかできていなかったと、当たり前のことをかみ締めながら点数の発表を待ち、あまりのひどい結果にあらためてがっくりして会場を後にした。


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