公式練習


大分は庄内市にある競技会場に直接入った。
昨年のリハーサル大会には参加しなかったので、全くの初めてだ。
ビームライフルの会場と10m・50mの射撃場が近く、駐車場や休憩スペース、銃器保管庫などもコンパクトに隣接した機能的な会場である。
50mの屋内射撃場は、藤枝のものよりもあっけらかんとした感じで、壁の白さや、標的側の空間の明るさがなかなか良い。
10mは10年限定の仮設置らしいが、50m射場同様に壁が明るくて癖がない。射撃線より前がカーペット敷きで、なんとなく落ち着いた感じさえする。


すでに大会前日の公式練習の真っ只中で、役員・標的交換補助の自衛官・射手・後ろで待つ選手たち、と射場はごった返していた。
私の練習割り当ては、この日最終から2つ目のP用回転。
明日、いきなりP(伏射)から始まるため、弾数は少しでいいがそこでPを撃っておきたい。
割り当て以外で、少しS(立射)も撃てたらいいな、とは思うけれど、まあ撃てなくても大丈夫。


国体の公式練習では恒例となっているが、数少ない「空き射座」を巡って、各練習回転前に盛大に抽選会が行われる。
昨日の練習から来ている学生メンバーたちが、毎回くじを引きに行ってくれるが、3つくらいの射座を20以上の都府県が争うくじ引きなので、そうは簡単に当たらない。


更衣室で荷物を広げて、銃器検査を受けたり、銃器を保管庫に預ける手続きをしたりする。
会場を動き回るたびに、全国の年数回ながら「見慣れている」面々や、春先の高校選抜合宿で、3日間いっしょに過ごした選手たち、さらには学連の学生射手たちとたくさん再会する。
講義でいろいろ話した手前、あんまり無様なところは見せられないなあ、と思ったりする。


空き射座の割り当て抽選は激戦が続き、これは無理だなあ、と思っていると、私の前の練習回転も同じチームの選手が同じ射座を使っていることがわかり、彼女は昨日も十分練習したから半分程度で切り上げる、という。
そのうちに彼女の練習回転になり、後でスタンバイする。30分でさっと入れ替わった。
道具の配置や据銃を確かめながら、立射を撃つ。最後の練習でチェックした立ち方を、意識して再現する。少ない時間なので持続ができるかどうかは確かめられないが、おおよそ思っていることはできた。


その後、回転が替わって伏射。事前にあわせたセッティングではしっくり来ず、ハンドストップなどの再調整をする。
何分この種目を撃つのは、国体とその1次予選だけ。例年、国体前1回の練習と2つの試合、年に3回だけの経験だけでノウハウを蓄積していってるのであるから、公式練習とはいえ、珍しいことではない。主に50mなどで積み上げて作っている「今、自分が伏射に対して持っているコンセプト」をエアライフルに反映させる作業は毎回必要なのだ。
大丈夫。明日、きっちり仕事をするだけだ。
30分ちょっとで練習を切り上げて、引き揚げた。


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