近畿ブロック


昨日から草津第一ホテルに泊まって迎えた国体近畿ブロック予選である。


射撃以外のスポーツもそういうところが多いのではないかと思うのだが、各県の体育協会が自県の各スポーツの活動レベルを評価する際に「国体」の成績を査定材料として重く見ることが多い。規模は様々だろうが、施設の維持にかかる予算などを左右するだけに、軽視はできない。
全国大会に出られるかどうかを決める「ブロック予選」はそういう意味で、各地方協会にとって特に重要な意味を帯びている。


国体種目すべてが行われるものの、各県から一種目について代表選手一人しか出ないので、出場者は各種目6人。試合の規模としてはささやかなものである。
しかし協会側にとっては意味合いが重いために、役員はフルセット、運営もすべての手続きを踏む最も格式の高い方法が取られる。出場選手を上回るのではないか、というくらいに各県から競技役員が動員されて勢ぞろいする。


「国体出場」を府県対抗のわかりやすい形で争う、ということだけで、独特の緊張感があるのだが、そこへもって少ない選手を、ものすごい数の役員が格式高い運営で遇するので、毎年この試合は一種異様な空気が漂う。
種目によって、全国大会に進める県の数が(通過枠わずか2の種目から、全府県通過の種目まで)大きく異なることもあって、予選通過に向けた緊張感は選手によって様々だが、試合の成績は全般に大荒れに荒れることが多い。枠の狭い種目には重圧が大きくのしかかり、絞込みのない種目ではモチベーションが上がりにくくて容易に暑さに負けてしまうからだろう。


私が代表になった「10m立射種目」は、オリンピック種目でかつ射撃競技普及の役割も果たす競技なので、ブロックでの絞り込みはない。
私にとっては、わずかに先週1度だけしかできなかった練習の成果を試す大会として、試合の少ない8月における貴重な公式戦のひとつという意味合いだけである。


試合の前日に公式練習として、1時間強も練習ができるなんていう贅沢をありがたく味わって試合に臨む。
前回の練習で取り組んだ内容は、前半には体が感じ取れなくて、模索するような形になったが、中盤からは再現でき、非常に明快に撃つことができた。
雲が切れてばっと一気に明るくなった時に、その刺激の変化に驚いて撃ってしまった終盤5シリーズ目の8点が祟って589だったが、屋外射場でこの結果は、なかなかだったんじゃないかと思う。
ささやかながら取り組み始めたフィジカルの効果を感じることもできた。


8月第3週、という時期にしては今日は涼しく、ブロック大会には珍しく各種目で好成績が続出した。女子の50m三姿勢では586の日本新記録が出たし、50m伏射もトップは594だった。
たくさんの予選不通過者が出てしまって、チームとしては少しさびしい結果となった。
1年休んだことで、国体に対しては新鮮な気持ちがまた涌いている。スケジュール的にも準備面にもいろいろ厳しい現実が待っているのだが、この2年の間にわずかなりとも積み上げた成果を、結果に反映できるようにしたいと思っている。


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