棚を作る

新しい棚



コープを始める前から少しそうだったのだが、キッチンには「冷蔵庫に入れない食材」というのが一定量常にあるのに、その置き場に当たるものがなく、床に置かざるを得ない状態になっていた。たとえば、土つきのジャガイモやタマネギ、ニンジンなど。
初めは食器棚の最下段の抽斗を充てていたのだが、他の保存食群にほどなく追い出されてしまった。


壁際の分別ゴミ箱の上が空間的に大きく開いているので、そこに棚を作りたいな、と思っていて、昨日今日と休みが取れたので早速作ってみることにした。
これまで家の中に作ってきた大型の書棚などと違い、すでにあるスチール家具(分別ゴミ箱)が機能するように組み合わせつつ、隙間を埋める棚である。


出来上がる物の大きさは比較的小さいが、数字面の制約が多くて、(今回も全部SPF材で作ってしまうのだが)どの寸法の材をどう使うか、頭を悩ませた。
必要な材を書き出してホームセンターに行ったが、棚板の組み方に断裁を依頼する直前まで悩んだ。
柱材を1×4や2×2材と細身のものに抑え、梁には初めて1×2という規格の材を使う。


これまで作ってきた棚と同様に、見た目の美しい「ダボ接合」を多用して組んで行ったのだが、これまで柱にしてきた2×4や2×6のように柱材自体では自立する気配はなく、梁も含めた面構造を組み合わせて初めて立つ構造のため、固定が進むまでのはじめが、なかなか大変だった。
要所要所で使うコースレッドで、がっちり固定する箇所が決まってから、ようやく順調に作業が進みだした。


昨日は、11時過ぎに簡単な図面片手に買出しに行って、4時ごろから作業を始めたのだが、9時ごろまでノンストップで作業しても2割ほど作業が残ってしまった。
はじめは横に娘を座らせて、ふんふんと相手をしながら作業していたのだが、しばらくするとそうも行かなくなって部屋に戻ってもらい、夕方からは汗みどろの様相だった。
玄関先で工具を広げてやっていたのだが、9時に夕食に引き揚げるときに一旦片付けて、今朝に持ち越すことにした。


夜は部屋で、六角ボルトと椅子の脚用ゴムパーツを組み合わせて、天井に突っ張る部品を作ったり、柱材の接地面に貼るフェルトシートを切ったりして備える。


朝、起き出すと、早速作業を再開。唯一残してあった、上から嵌める棚板の部分を切り出して固定し、突っ張りパーツの取り付け作業に移った。
仕上げ段階ともいえる終盤の組立作業はきわめて順調に進んだ。はじめが一番困難で、どんどんより容易で楽しい作業へと加速していくのが、ものづくりの醍醐味だなあ、とあらためて感じる。このぐんぐん進んでいく時の心地よさがたまらない。


屋内に運び込んでから、設置するのに少し苦戦した。
突っ張り固定をする棚は、天井との距離をある程度ぎりぎりに作るので、部屋に入れるために斜めにした状態から、再び鉛直に立てる際に閊えてしまうことが多い。今回も見事にその状態で動けなくなってしまった。
自作の突っ張り部品が、しっかり深く入った状態から伸びるように、柱の上の穴を深く開けなおすことにする。
・・・解決。やれやれと胸をなでおろす。


出来上がりは上々だ。
食材はもちろん、食器棚の中ほどにある水屋の部分に出ていた細々したものもすっきりと上段に納まった。
材には撓みやねじれがどうしてもあるものだが、薄い材は柱として縦に長く使うと、それが目立つのできれいに見えないかもしれないと心配したが、突っ張ってきっちりとポジションを取らせるとすっきりとした姿になった。


昨日の悪戦苦闘からは一転して、午前中2時間で作業完了。気分よく昼食を摂った。
何かが出来上がるといつものことだが、用もないのに、できあがった棚を何度も見に行っては、満足感に浸る。


[fin]