初めての海

初めての海



乳幼児用の水着、というのをお下がりでいただいたので、一度これは着せてみようか、と朝8時前、本格的に暑くなってしまう前に3人で近くの砂浜に出かけた。


すでに人が集まってきていて、浜は賑やかだった。
朝とは言え、日差しはなかなかのもので、ちびすけはそうは長くいられない。
海で遊ぶ、というより、水着の撮影会だな、と早速水際に行ってみた。


娘は、少し不安そうな声を出している。
0歳児の目線で一緒に海を見ると、絶えることなく地響きのように波の音がして、少し怖い。
程なく、下の湿った砂の触感に興味が移って、一心に掴んだり離したりしはじめた。


抱え上げて、足先だけ波に濡らしてやる。
気合いの入った表情になったが、それほど怖がることもなかった。


全部で10分くらいだったろうか。以上で「撮影会」は終了である。
水場で足を洗って、浜から引き上げた。


今日のことを、できごととしてはこの先、思い出すことはできないだろうけれど、印象はどこかに刻まれる。
日々彼女が出会うすべてのことがそうなのだが、今回の「海」は、どんな風に刻まれたろうか。


[fin]