強化合宿

強化合宿の様子



昨晩、講習会会場から相方の実家に戻って夕飯を摂ると、すぐ荷物を積みこんで合宿地に向かった。


今回の合宿で相手にするのは、各大学の主将やエースばかりで、WUC代表とその選に漏れた強化指定選手が勢ぞろいする。
たかだか3日ではあるが、わざわざこれだけの面子を集めて合宿する意義があった、と言えるものにしなければならない、と不安と使命感のようなものが入り混じる。
夜9時ごろに宿舎に入ったが、選手には前期末試験後の出発で到着がもっと遅くなる者もあり、今朝の朝食で初めて顔を合わせることになった。


朝食が朝8時からしかできない、というのがこの宿の唯一ともいえる欠点で、どうしてもプログラムが遅くなる。
周囲は田園地帯で、天然記念物の大けやきなどもある。朝はウォーキングと称している散歩で身体を動かしたが、誰にも会わなかった(後でわかったことだが、朝にジョギングをしている選手は、私が歩くよりももっと早い時間にトレーニングを済ませていた)。
各自工夫して朝の時間を撃つ以外のトレーニングや調整に、自主的に充てて欲しいところである。


毎朝10時から記録会を設定して、それを自分なりに活用しながら練習を積む、という形式にした。
初日がAR、2日目が50mの伏射、3日目に50m三姿勢として、初日にARでファイナル形式の練習も組む。
2日目にじっくり練習する時間が取れる仕組みだ。


夜のミーティングにあらためてなにか話すとなるとなかなか難しく、えらく緊張してしまった。
自分が学生時代に選手の立場で強化合宿に参加していた時のことを思い返すと、いわゆる指導者から「与えられたもの」の中で「自分にとって有効」と感じられたことは限られていた。その量的には僅かな「何か」だけを、はずさないように提供することは、とても難しいことである。
JOCコーチでもあるSさんにコミュニケーションワークをしてもらったり、大会に同行してもらうFコーチや、支部長として陰に陽に支えてくださっているHさんから、選手たちに向けて、簡潔な励ましの言葉をもらったりする。


今の日本学生射撃を代表する顔ぶれが、互いを知り、励ましあいながら切磋琢磨するライバルとして交流を深め、自分たちが何を目指すのかを考えることが、まず大事なことである。
その後に、「どうしたらいいか」は必ずついて来るし、そこは「与える」こともできる領域になってくる。


うろうろと歩き回っては、声をかけ、話を聞くだけ、といえばそれまでなのだが、ひとつひとつおろそかにはできない緊張感があって、なかなかしんどいものである。


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